スタンドUPスタート / 福田秀 1巻 感想

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とある新橋のキャバクラで飲む大手銀行の林田次長。バカ騒ぎのベンチャー企業の面々に小言を吐く林田次長は、そのベンチャー社長に絡まれてしまう。

そこへ現れた一人の男。名を三星太陽と言い、「人間投資家」を肩書きにしている。そのベンチャーの社長への出資をしているらしい。

林田が肩書きを偽っていることを見抜いた太陽は、嬉々として林田に弁論をまくし立てる。図星を突かれた次長は店をあとにするが、追いかけてきた太陽に「起業」をしようと持ちかけられた。

その後しつこく追いかけてくる太陽に辟易する林田だが、太陽の考えを聞くにつれ徐々に心を動かされていく。

太陽の企画した計画をものにするために、身を粉にして挑む林田。ついに、太陽が掲げた目標を達成する。
会社でミスをし出向を命じられ胸を張って仕事を出来ていなかった林田は、50過ぎにして初めて仕事に対するやりがいと達成感を感じたのであった。

太陽は、資産は人だと説く。起業後進国と言われる日本で、働き方の選択肢を増やし日本を起業先進国にする。人の意識を起業することを目標に様々な人との関わりを繋いでいく。

【感想】

起業に対する意識が低い日本で、個人の能力を見出し起業を持ちかける「人間投資家」を名乗る主人公、太陽の物語。

起業を扱った漫画はおそらく読んだのは初めてですが、かなりフレッシュな内容で面白いです。漫画的な読みづらさが少しありますが、良い意味で言えばかなり読み応えはあります。絵は綺麗なのでそこまで問題はないように思えます。

 

スタンドUPスタート 1巻 1話

1話の林田の話も、2話以降もそうですが、ピックアップされるのは言わば、起業どころか一般社会人も危うい人たち。
少年院出の中卒ヤンキー、プライドだけが高い自分を持たない就活生、社会に出たことのない専業主婦、大手起業でリストラを食らった現場責任者…様々な「少し足りない」人たちを「資産」として捉え、引き上げ活躍の場を見出す太陽。この中には起業をしたいと思っている人などは当然いなく、そういった人たちに起業という選択肢を与えます。最終的な判断は本人次第ですが、太陽の明るいキャラと説得力のある話術は人の心を変えていきます。

確かに、起業ってハードルが高いですよね。勉強も要りますし、度胸も決断力も必要。精神的にも肉体的にも相当大変なイメージはあります。
それでも、自分という人間はこの世に一人しかいなく、自分にしかできないこと、自分でも出来ることが起業にあると伝えてくれる熱い漫画です。

 

スタンドUPスタート 1巻 1話

コンセプトからして、始めから起業を目指す人たちはターゲットではなく、落ちた人たちに手を差し伸べる救済漫画の側面が強いです。太陽もそう言っていますし。なので「起業漫画」として、起業に興味を持つ人たちが読むには少し違うかな、という気はします。むしろ、起業に興味はなく、社会人として大変な毎日を過ごしている人たちにこそ合うのではないでしょうか。

当然、現実はサクセスストーリーばかりではないはずですが、漫画内では気持ちよく話は終わります。少なくとも1巻はそれで良いと思っていますし、それが娯楽の役割かなとも思っています。自己啓発であればそういった本がたくさんありますし。

物語の後半、太陽と対になる人物が現れます。対にはなりますが、実は信念は同じ。この構図は面白い。この二人がこれから日本を動かしていく様が見られるのかと思うと少しワクワクします。1巻のようなオムニバス的な形式も良いですが、もっとスケールのでかい話にしてもらっても面白いと思うので、期待したいです。

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