九条の大罪 / 真鍋昌平 1巻 感想

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とあるひき逃げ事件の現場。スマホを見ながら飲酒運転という庇いきれない加害者は、助けを求めた先輩に紹介され、ある弁護士の元へ。

弁護士の名は九条間人(くじょうたいざ)。九条は状況を聞くなり、いかに罪を軽くできるか加害者へ助言を行う。

被害者の親子。父親は死亡。子は片足切断の重傷。残された母親は悲しみと怒りに支配されていた。

裁判の結果、禁固1年8ヶ月、執行猶予3年。危険運転致死を見事に過失運転致死に持って行った九条の弁護の力だった。

世の中では悪徳弁護士と罵られる九条だが、九条は法律と道徳は混同しないという信条。依頼人の罪を弁護するために、倫理観は捨て合理的な判断のみを行う。
そんな九条の元へ来る依頼人はみな、アウトローの加害者ばかりだった。

【感想】

闇金ウシジマくんの著者の新作。凄腕弁護士ですが、私情を仕事に挟まない淡泊で合理的なタイプの主人公。

始めのひき逃げのエピソードでも、間違いなく加害者が悪いのですが、九条は刑を軽くするための的確な助言を並べます。
「被害者は死んでいた方がいい」「スマホは無くしたと言え」「飲み屋の領収書は全て捨てろ」「出頭するなら酒が抜けてから」ご丁寧に酒の抜き方まで教えてくれます。

結果的に加害者は実際の罪以下の求刑。被害者はたまったものではなく、鬼の形相で加害者を見つめます。
しかし被害者は弁護士を立てなかったため、もらえたはずのお金ももらえずただただ悲しみに暮れ裁判所をあとにするという、なんてオチなんだ…。

真実や道徳はどうでも良く、頼ってきた客の良いように結果を出すことだけを考える弁護士。人としてどうだろう、と思うようなスタンスですが、実力は折り紙付き。そしてどんどん悪い奴らにアテにされるという流れ。

せっかくのやり手弁護士ですが、この振り切ったキャラを描くには当然「人としてどうなの」ってキャラである必要はあるので、必然的にやばい奴らを庇うエピソードになり、そして必然的にウシジマくんのようなダークな話になっていく…。面白いとは思いつつも、気分はあまり良くないというのはウシジマくん同様です。

面白いことには面白い、それは間違いないのですが、これからもっとヘビーな話が待ち受けているかと思うと娯楽として読むには中々根気が要りますねえ。

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