おとなりに銀河 / 雨隠ギド 1巻 感想

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漫画家の久我一郎は、幼い妹と弟との三人暮らし。親を亡くし、長男である久我は二人の弟妹を養うため、日々執筆作業に明け暮れていた。

担当からアシスタントが見つかったと連絡が入り、出会ったのは綺麗な女性。名を五色しおりと言い、アシとしての経歴はないが独学でかなりの実力の持ち主だった。

修羅場を二人でくぐり抜け、ぐったりする二人。倒れた五色の体にGペンが刺さっていると勘違いした久我は、その棘に触れてしまう。その瞬間、宇宙のような空間を目の当たりにする。

棘に触れた男と触れられた女は、一蓮托生の契りを交わしたことになり、この行為は、婚姻関係にある者達にしか許されないものだという五色。

流れ星の民の姫だという五色。事故による婚姻は望まないので、恋愛から始めましょうと久我に提案をする。

【感想】

恋愛経験の乏しい不器用な二人が、婚姻関係になるところからスタートするラブコメ。「甘々と稲妻」の雨隠ギドさんの新作です。
宇宙人設定のヒロインが漫画家の主人公の元でのアシスタントを通じて距離を縮めていきます。

 

おとなりに銀河 1巻 1話

凛々しい雰囲気ですがどこか抜けている五色しおり。五色さんは恋愛については乏しく、興味がありつつもその実態をよく分かっていませんでした。そんな五色さんが宇宙人設定というのが、性格と相まってなんとも不思議なキャラクター。
恋というものが何なのかわからない、そんな彼女が突然男と婚姻関係になってしまった。戸惑いながらもそれならば恋愛をと思う五色さん。その割には久我の前ではクールなんですよね。

しかしとあることをきっかけに、自分の気持ちを自覚してからは、完全に恋する乙女になっているのがかわいい。久我の住むアパートに引っ越していて、仕事も久我の部屋なので、かなり狭いコミュニティでの話となりますが、それが良いです。二人の関係性のみが重点的に進む感じ。

久我の方はと言えば、お兄ちゃんとしての振る舞いが模範的で、物事を現実的に捉える性格なので、突然の婚姻関係には否定的、というより戸惑っています。

二人の弟妹、特に妹がよくできた妹で…この兄妹のやりとりは微笑ましい。お互いが支え合いながら生活しているのが分かります。素晴らしい。

そんな久我なので、じゃあ結婚しようとはならないわけですが、それでも五色さんとの関わりが増えていくにつれ…といったところ。まあ、意識しないというのは無理でしょう。笑

宇宙人設定というファンタジックな面は、五色さんと久我との関係はただの婚姻関係ではなく支配関係に近い、という部分に使われます。
姫を守るため、五色さんと久我の物理的距離が離れたり五色さんが嫌な気持ちになったりすると、久我の体調に異変が起きます。これは普通の婚姻関係ではないので、出来ればそうじゃない、支配など考えない関係性で婚姻関係を結びたい、という五色さんの久我への思いを強くさせるもの。言わば壁のようなもので、きっかけも障害もこの設定ならでは。

ちょっと変わった人物設定で、閉じられた世界で進展する恋物語。キャラクターも好感が持ててかわいいです。おすすめ。

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