阿波連さんははかれない / 水あさと 1巻 感想

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高校生のライドウは隣の席の阿波連(あはれん)れいなと距離を感じていた。
声をかけても入学してから一度も返事がない。体の小さい阿波連さんを見て、心なしか物理的にも距離を感じる。

そんなある日、阿波連さんの落とした消しゴムを拾ってあげたライドウ。ライドウに近づく阿波連さんだが、今度は近すぎる。
近すぎるが、声が小さすぎて聞き取れない。

お昼も下校も近すぎる阿波連さん。すると翌日、また距離が開く。聞いてみると、昔から人との距離感がわからず気持ち悪がられるため気をつけていた、とのことだった。ライドウが近付いてくれたことが嬉しく、調子に乗ってしまったと反省する阿波連さん。

そんな阿波連さんをライドウは受け入れる。喜びを隠せない阿波連さんは、また近付きすぎるのだった。

【感想】

「デンキ街の本屋さん」の水あさと作、男女のゆるい青春コメディ。

水あさとさんのイメージとは裏腹に、静かでゆったり進むお話。阿波連さんの小動物のようなかわいさと、何でも包み込むライドウの良いヤツ感。予測不可能な阿波連さんの行動に、心の中でツッコむライドウ。この流れがスタンダード。

タイトルの「はかれない」とは、他人との距離が「測れない」という意味。加えて、阿波連さんの行動が「計り知れない」といった意味もありそう。

こういった学校内での閉塞的な男女のコメディが、いつからかやたらと増えましたね。僕の感覚的には、「となりの関くん」辺りから爆発的に増えたような気がします。
からかい上手の高木さん」や「久保さんは僕を許さない」などと同じく、キャラの個性や一ネタ勝負になる設定ですが、今作も阿波連さんのキャラが全て。
このかわいらしい阿波連さんの予測不可能な行動が全てで、ライドウがツッコミを入れてオチます。口下手っぽいライドウのツッコミも少し癖になりますね。

すらすらと読めて、優しい気持ちになります。人知れず悩む阿波連さんに対して、優しすぎるくらいのライドウ。恋愛でも友情でもない不思議な関係が、逆に心地よく感じました。