ブランクスペース / 熊倉献 1巻 感想

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女子高生の狛江ショーコは恋に恋する思春期の女子。気になる男の子がいたが、脈なしとわかりショックを受けていた。

半ばヤケになり、雨の中傘もなく駆けていたところ、道ばたで偶然同じクラスの片桐さんと出会う。

片桐さんは、目には見えない「傘」を差していた。

話を聞くと、片桐さんは物の作りをイメージするとその物を現実に作り出せるという特殊な能力を持っていた。出来上がりは透明で、他の人には見えない。ただし触ることは出来、現実世界のものに干渉はされる。

失恋のショックも吹き飛ぶくらいの衝撃を受けたショーコ。非現実的な現象を目の当たりにし、ドキドキが止まらない。自分の高校生活に、何かの始まりを感じていた。

【感想】

特殊能力を持つ女子高生と、平凡な主人公との交友を描いた作品。

主人公のショーコはちょっとおバカ系で前向きな性格。失恋にショックを受けてメンタル的にやられている風な描写もあるのですが、あっけらかんとしたポジティブな面も感じられてあまり深刻さはないです。

割と明るめで社交性もありそうなキャラクターですが、クラス内では少し浮いていて、正直友達多そうだなと思うんですが、意外とそうでもなさそうです。

そこで出会ったエスパー少女、片桐さん。
こちらはコミュ力に難があり、同じく友達は少ない。自分の考え、思いはしっかりありつつもどこか周りを遠ざけているような節があります。能力のせいというのもありますね。

ブランクスペース 1巻

ブランクスペース 1巻

そんな二人が出会い、お互いの高校生活で欠けていたものを補い合っていくお話…なんですが、中盤から少し不穏な空気になり、片桐さんがクラスからいじめを受ける話にシフト。その解決に奔走する流れとなります。

ショーコの周りを気にしすぎない思い切りの良い性格が良いですね。片桐さんもそこに救われていて、一時は突き放したりもしていましたが結果的には仲良くなっています。

いじめの話もショーコならきっと何とかしてくれると期待できるような、そんな主人公。

特殊能力という非現実感と、高校生特有の悩みや問題を描くリアルさが上手い具合にマッチしていて面白い。

片桐さんは引っ込み思案ながらも思いを放出する術は持っているので、自殺や引きこもりのような展開にはならず、能力を使って物騒な物を作ったり考えたりという展開となり、そこまで陰鬱な空気にはならずに読み進められます。

能力というスパイスが、今後の話の展開の規模を予想させない良い設定となっています。続きも気になりますね。おすすめです。

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