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ヴィンランド開拓へ向けて参加者を募り、出向の段取りを取るトルフィン。
レイフのおじさんがいきなりだいぶ老けてどうしたかと思いましたが…ヴィンランドへの憧れをトルフィンに託してご隠居となるようで寂しいようなお疲れさまというような。
そんな中ギョロは相変わらずふざけています。ノルウェーでギャンブルにはまり調子に乗っているので置いてけぼりに。
そして案の定馬鹿を見ることになりますね。女の子に騙され負かされ借金を負わされトルフィン達に泣きつく阿呆がここに…。
ギョロがヴィンランド開拓に参加しないとなって、お別れかと思いましたがこんな流れで合流するとは。ギョロはこの借りを返すべくヴィンランドで一攫千金を狙います。
そしてトルフィン一行は海を渡り、ついに北米大陸に上陸。まずたどり着いたのは険しい岩山。その後、木の生い茂る土地へ。マルクランドと呼ぶ土地。ここに残りたいという13人をここに置き、ヴィンランドとグリーンランドの中継基地として機能させるというトルフィン。こういうときのトルフィンの判断は理に適っていて流石。
この考え方に対して、ヒルドがトルフィンを「戦士」の考え方だと悟るシーン。ヒルドはまだトルフィンの戦士の部分をどうしても感じてしまうのは仕方ないですが、もうしばらくトルフィンは戦いもしておらず、周りもトルフィンを戦士だったと知っている人は少なくなり、この巻でもそこをいじるシーンは他にもありました。
あれだけ狂気じみて実力もあったトルフィンが、20年経ってこうも変わって…トルフィンのあの強さをみんな知らないというもどかしさもありつつ、この変化は一人の人間の変化としてはあまりにも大きく、様々な経験と人との出会いがここまでトルフィンを大きくしたのだなあと感慨深くなりますね。
マルクランドを出て更に南下し、そこでついにヴィンランドに…と思ったら先住民がいるっぽいです。
争いを避けたいトルフィンは更に南へ下る決断をします。
ここは本当に徹底しています。
そして新たな開けた土地へ。畑を作るにも十分な広さ。木があり土も良い。あとは先住民の存在だけ…。
トルフィンは先住民と上手く付き合う方向で、開拓を始めます。
ここの先住民は人柄は悪くなさそうで、ある程度の理解は得られそうな人たち。ただ、当然のごとく自分たちの領地に勝手に入られることを、はいどうぞと許すわけにもいかんでしょうし、トルフィンの前に姿を現したところで次巻へ。
この巻では、ついに念願のヴィンランドへ到着。開拓に向けて大きな一歩を踏み出しました。
そこでの問題も様々ありますが、いかに「争わずに」開拓出来るか。これが一番難しく、一番重要視している部分。そしてこの作品の最大のテーマかと思います。
トールズを殺されて20年、トルフィンは普通の人間の何倍もの苦労や経験を重ねて、ある種、達観の極地にまで到達しています。
リーダーシップも判断力もあり、人柄がよく周りからも好かれる。唯一、戦争社会であることで血気盛んな男からは信頼を得られないという部分を除けば、ほぼ完璧なところまで成長したトルフィン。
そんなトルフィンの夢。しっかり近付いている感覚を読者的にも感じます。まだまだ障害はあるかと思いますが、最後まで見守りたいです。
また、今回ぐっと来たのは、アルネイズの石膏のシーン。
まさかアルネイズまで連れてくるとは驚きと共に、感動してしまいました。
あの無念さは計り知れず、読者としては皆大きなしこりとして残っていたはずですが、こうやって少しでも救いの手が差し伸べられたということがとても嬉しい。素晴らしいです。
「アルネイズの村」と呼ばれるようになったこの拠点。まずは、ここの先住民と折り合いが付けられるかどうか。交渉術も長けているトルフィンの腕の見せ所です。次巻も楽しみ。
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