↑試し読みできます。(画像クリック)
大陽が訪れたのはキャバ嬢から起業した未咲の元。紹介された小野寺夏は、キャバクラで働くも上手く行かない女の子。地方から稼ぎに出てくるも入社した会社は倒産し、お金のためにキャバ嬢を始めるもお酒が飲めずトークも苦手な小野寺は悩み、未咲に相談していました。
そこで大陽が提案したのが、小野寺の実家で作るメロン。高級メロンをドリンクとしてアレンジし、酒代わりに提供することで単価も張り、酒が飲めない子でも売上を上げられるという策。
コロナ禍はこの作品にも投影していて、こういった接待を商売とするところも苦悩を上手く描いて且つ救いも持たせているところは素晴らしいです。まあ、世の中こう上手くは行かないと思いますが…でも希望にはなりますよね。
次は大手銀行に勤める融資担当の女性の話。大陽と同級生でパチンコ店の店長であり跡取り息子の藤堂は、パチンコ店に関連する新事業の融資のお願いで、銀行を訪れます。
担当の羽賀は、パチンコ等のギャンブルに嫌悪感を抱いていて融資担当としての仕事を全う出来ません。その羽賀の気持ちにはただならぬものがあり、実は羽賀の母がパチンコ依存症であることが原因なのでした。
パチンコという遊技の良い面と悪い面を上手く扱った話です。藤堂はパチンコ会社の次期社長として頑張りつつも、パチンコって本当に必要なものなのかという葛藤に苛まれます。
それでもパチンコを悪者にしない新ビジネスを検討して、あくまで「遊技」としてパチンコを楽しんでもらうために奔走する様はかっこいいです。
そして同時に、パチンコに毒されてしまった母を持つ羽賀さんにもスポット。ここは大陽のタラシな面で羽賀さんを包み込みます。後でツッコまれますが、これは惚れてまうやろ…という太陽の天然さが良いのやら悪いのやら…。
次は大陽に関わった女性たちが、大陽の秘書であるMさんに招かれたパーティで、太陽についてあれこれ話すお休み会。大陽は間違いなくモテますが、本人が天然なのが中々厳しいところ…。しかしMって何者。
他にも、神崎と虎がいがみ合いながらも尊敬しあう話や、風俗店を経営する一ちゃんとトンズラした出資先の社長との話など、単発でも人の心の動きが良くわかる良い話の連続。
そして、今回見所だったのは、渋沢栄一を描いた話。夢の中で大陽の姿で行動を起こす渋沢栄一。あまり詳しくないのですが、この話を見てとんでもない人だというのはわかります。
まだ読んでませんが、ビッグコミックから伝記が出ているので気になっています。大河も人気ですし、何やら渋沢栄一ブーム…?
最後はなんと、ある人が起業にチャレンジして失敗した話。夢を見て、彼女も将来も捨てて始めた起業が上手く行かずに、出戻りしてある意味新たなスタートを切る…と思ったら大陽が。
失敗して、やっぱり堅実がいいよね、という終わり方かと思ってこんな普通の物語も描くのか!と思ったら、そうではありませんでした。笑
この巻では、2巻で引っ張った大海は全く描かれず、いつも通りの大陽の活躍。ショートものが続いたので読みやすさはありつつ、エグさはなかったので落ち着いた感もありつつ…。
しかしコロナ禍という現実の状況も合わせて、人情物に仕立て上げるのは本当に上手いなあ。
試し読み、購入はこちらをクリック!