最果てのソルテ / 水上悟志 1巻 感想

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親無し子である女の子のソルテ。幼い頃に村長に引き取られ、村で自由気ままに過ごしていた。

ある日、近付いてはいけない洞窟で雨宿りをしていると、洞窟の奥から女性が現れた。
その洞窟の奥は「魔法汚染地帯」と呼ばれる危険な場所。過去、魔法を使った大きな戦争があり、その後魔法は全世界で禁止となったが、その名残が今でも各所に残っていた。そういった場所を魔法汚染地帯と呼び、魔物の住処となっている。
ソルテの父と母は魔法汚染地帯の研究家で、汚染地帯の影響で命を亡くしていた。

洞窟から現れたのはサリエラという女性。かつてこの村に住んでおり、村長に拾われたが奴隷商人に売られ、その後サルベイジャーとなっていた。
サルベイジャーとは、魔法汚染地帯で宝飾を引き上げる探検家。サリエラは村長に裏切られていたのだった。

村長とサリエラの会話を聞いてしまったソルテ。察した村長はソルテも奴隷商人へ売る手配をする。ソルテに帰るところはもうない。開き直ったソルテは奴隷商人に売られたその先で、サルベイジャーとなり魔法汚染地帯の大陸と呼ばれる「魔界」の、更に奥へ冒険の旅へ出ることを目標に掲げた。

【感想】

水上悟志さんの最新作。マッグからは戦国妖狐以来の連載ですかね。相変わらず水上節が満載のファンタジーで、期待通りの面白さでした。以下、若干のネタバレをしてしまいますので、気になっている方はもうそのまま買ってください。笑

親に先立たれた少女ソルテが、育ての親にも裏切られ半ば開き直り冒険に出かけるファンタジー。冒頭はその冒険を終えた大人のソルテの独白から始まります。よくある演出ですが、水上さんが描くと妙にわくわくするのは何ででしょうね。

 

最果てのソルテ 1巻

過去に起きた魔法大戦。その影響による魔法汚染と魔物の出現。魔法が禁止されている世界ですが、ソルテはその魔法に大きく関わることになります。

物語はサリエラという女性が村へ行き着くところから始まります。サルベイジャーであるサリエラ、前半で出番は終了してしまいますが、その存在感から、この後も重要な人物なのでは、とも思います。
実際、そこで譲り受けたペンダントがソルテの行く先を大きく変えることになります。

 

最果てのソルテ 1巻

 

最果てのソルテ 1巻

早速、ソルテの周りにはパーティが集まります。妖精のセレン。死に場所を探す剣士、フィロ。病気でモグラの姿になったブラック。どんどん集まりますが、これにも理由があり、実はセレンを中心としたループもの。この物語そのものが、セレンにとっては二回目という何ともややこしい設定。

そもそも水上さんは世界観や設定のスケールがもの凄く、悪く言ってしまうと風呂敷がデカすぎて描写が追いついていないパターンはままあります。
今作もそんな感じで、魔法汚染?サルベイジャー?神罰騎士団?精霊病?闘身の呪い?という、著者ファンじゃなかったら初見を殺しにかかる展開ばかりで追いつけないのでは、と思います。しかし、それが水上さんの良さと表裏一体なんですよね。見せ方が上手いのである程度は許容できてしまって、気付いたらハマっているパターン。今作も例に漏れず、ハマりそうです。

また、ソルテはセレンの力により魔法を授けられ、なんと魔法少女のような風体で戦うという、どんなジャンルなんだこれはという展開。
しかも魔法は禁止されている世界なのに堂々と使っちゃって、やっぱりその後問題になるという、いやいやセレンもソルテも何やってんのってなりますが。笑

 

最果てのソルテ 1巻

 

最果てのソルテ 1巻

魔物のビジュアルはユニークで、この辺りは流石です。今後も様々な敵や障害が起こり、解決策もきっとその都度違うと思いますが、戦闘の度に豊かなバリエーションを感じられそうで楽しみです。

 

最果てのソルテ 1巻

 

最果てのソルテ 1巻

そして旅は始まり、ソルテの目的は魔界のどこかにあるという「死者の国」を見つけ、亡くなった父と母に会うことへと転換。同行するフィロやブラックにもそれぞれ目的はあり、不明な点や伏線もあります。これからの道中、どういった戦いや苦難が訪れるのか、既に2巻が楽しみ。

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