乙嫁語り / 森薫 8巻 感想 【ネタバレあり】

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ハルガルとバダンの襲撃により大打撃を受けたアミル達の町。パリヤの家は相当なダメージで、嫁入り用の布もほとんどがダメになってしまった。パリヤ家は、家を建て直すあいだ、アミルの家に居候することになった。

刺繍に苦戦するパリヤ。刺繍は嫌いではなく不器用でもないが、細かい作業を続けるのが苦手なパリヤ。
しかし先日会った夫候補のウマルを思い、練習を重ね少しずつ上手くなっていく。

そんな中、ウマルとウマルの父が見舞いにやってきた。町の復旧を手伝ってくれるという。
しばらく近くに滞在することになり、パリヤはウマルとの距離を縮めようと頑張るもマイナス思考がとことん裏目に出てしまい引きこもりに。

このままではいけないと思うパリヤは、ラヒム家のカモーラを当面の目標として追いかけることに。カモーラは、パリヤより年下だが気立てがよく家事・裁縫も上手い。自分にない物を持っているカモーラのようになりたいと思い、カモーラに近づく。
ストーカー紛いの怪しい行動が誤解を招きつつも、パリヤはカモーラと友達になれた。

【感想】

パリヤがメインの8巻。

最初の話は、前巻のアニスとシーリーンのエピローグ。夫が神様のよう。そしてシーリーンの食べっぷり。夫を亡くしたシーリーンも、新たな生活を始められていることがとても嬉しい。

そして、お待ちかねのパリヤさんです。空回りを続けるパリヤ。ネガティブ最上級の性格でありつつも、前向きに頑張る姿が面白かわいい。
何かある度に一喜一憂し、全てが顔に出るという…こんな素敵なキャラなかなかいませんよ。

パリヤの丁寧語が好きですね。人と話すときはだいたい「です・ます」調ですが、これがパリヤの味と言いますか。アミルもそうですけど、パリヤのキャラクターでのこの口調がツボ。

とにかくマイナス思考で卑屈、そんな自分が嫌い、というパリヤですが、パリヤの良いところはみんな知ってます。何より、ウマルがそれを見抜いているのが本当に救い。教えてあげたい。

襲撃のせいで縁談が中々進まなくなってしまいましたが、そもそもパリヤ自身も進んだり戻ったりを繰り返してウマルとの距離は変わらず。
頑張るパリヤの一挙手一投足が面白い。刺繍が上手くできてにやついたり、ウマルと会えてにやついたり、ウマルに活発なとこ見られてダンゴムシになったり…全力でパリヤやってます。愛おしい。

この巻では刺繍がよく出てきますが、森さんの描き込み魔っぷりが存分に発揮されています。惚れ惚れ。常人では気が狂ってしまいそうな模様ですが、この方は元々気が…(最大級の褒め言葉)

パリヤのエピソードはまだ続きそうです。
頑張れ…。