乙嫁語り / 森薫 7巻 感想 【ネタバレあり】

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スミスが今回お世話になる家は豪勢なお屋敷。主人からもてなしを受けるスミスとアリは、ここにしばらく滞在することになる。

妻のアニスは基本外に出ることはなく、夫がスミスらをもてなす間は少し寂しく、退屈をしていた。

お手伝いのマーフから、姉妹妻を持てばいいと提案される。姉妹妻とは、結婚して子供のいる女性同士が契りを結ぶことで、お互いを思いやりお互いの心の本当の理解者となる、一生の親友のこと。
出会いを求め、マーフの提案で風呂屋へ行くことに。

そこで、アニスは一人の女性に心を奪われる。仲良くなりたい一心で、勇気を出して声をかけ、二人は短い時間ながらも他愛ない会話をした。
彼女はシーリーンと言い、お金がなくあまり風呂屋へは来られないが、アニスとの約束の日は顔を出し、知り合ったばかりの二人はお互いのことを語り合う。アニスにとって、初めての友達だった。
気の逸るアニスは早くも姉妹妻の申し出をし、シーリーンはそれを受ける。晴れて、二人は姉妹妻となった。

しかしある日、シーリーンの夫が突然倒れ、亡くなってしまう。悲しみに暮れるシーリーンに、何か出来ることはないかと考えたアニスは、夫に、シーリーンを第二の妻としてもらうことをお願いする。

助けを請われ放っておけないアニスの夫はこれを了承し、シーリーンと結婚。アニスとシーリーンは仲良く、同じ屋根の下で暮らすこととなった。

【感想】

新しい乙嫁。しかし今回は少し変化球。

夫は優しく妻思いで性格の良い、聖人のような人。
妻のアニスは夫一筋、少し寂しがり屋で天然で純粋なキャラクター。

今回はアニスにスポットを当て、姉妹妻という新しい結婚の形を見せてくれます。
男女夫婦とは違う、友達とも違う、特別な関係の同姓同士。同姓だからこそ分かり合えることがある、というのが姉妹妻の意味。

アニスは、初めは一目惚れのような感じでしたね。確かにシーリーンは目を引く存在感があります。風呂屋内ではそうではなかったようですが、作品的には力が入っているように見えます。
おかめっぽい顔つきで表情もあまり出さず、口数も少ない。ただし妙な色気があり、佇まいが独特で絵になります。華奢なアニスとは対照的で肉付きがよく、その点もアニスが惹かれた点なのでしょうか。

シーリーンの夫が亡くなるシーンで、初めてシーリーンの本当の素顔が見られたような気がします。夫が本当に好きなんだな、とわかるシーンがちょくちょくあり、微笑ましい。アニス夫婦も仲良くしている様子がしっかり描かれていますし、どちらも素晴らしい。

しかし…アニスのような純粋な人は時にもの凄く心配になることがあります。現代にいたら絶対誰かに騙されるし変なことに巻き込まれそうで怖いです。…が、真っ直ぐそのまま生きてほしい。夫が素晴らしい人なので、アニスのことをわかってあげて、守ってあげてほしいです。

妻は妻でも、女性同士の関係を描いた巻でした。どんな形でも、大切な人がいる暮らしというのは華々しくなりますね。

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