ヒラエスは旅路の果て / 鎌谷悠希 1巻 感想

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親友を失った少女、ミカ。その死にショックを受け自分も死ぬためにトラックへ飛び込んだが、間一髪で一人の男に助けられる。

男が代わりに轢かれてしまうが、ピンピンしていた。彼の名前は日々野。不老不死だという。

また、日々野と共に行動をしている青年。彼は自分を神だという。
謎の二人組に助けられたミカだが、本当は今すぐにでも死にたい。しかし神である青年の話を聞くと、彼もまた死ぬために島根の「黄泉の国」へ旅をしている道中だという。

黄泉の国へ行けば、死ねる。そして死者に会うことも出来る。ミカは二人に付いて黄泉の国へ向かうことを決めた。

【感想】

死ぬことを目的に旅をする三人の物語。

「隠の王」「少年ノート」の鎌谷さんの新作です。絵は言わずもがな、綺麗ですね。

行動を共にする三人、それぞれ経緯は違えど目的は同じ、死ぬための旅。と言っても神以外の二人は、目の前で誰かが死なれるのは嫌だというので、それはそれでどうなのとも思いつつ。

日々野に関しては長年死ねずに生きている不老不死ということで、簡単には推し量れない色々なことがあったのだろうなと、だからこそ日々野の意見は達観していて何ら不思議ではなくて。

ミカに関しては、親友が亡くなったということで、これも同情せざるを得ないです。
ただ、そうなったからなのか、元々の性格なのかはわかりませんが、少し生きづらそうな性格だなあという印象もあります。
少し自己中心的なところがあるのが気になります。

もう一人、神と自称する青年がいて、彼は一応、紛れもなく神という設定。人の死の予兆が見える能力がありますが、それに対して何をするでもなく、あくまで傍観する立場。良く言えば中立で、悪く言えば人の心が欠けている。まあそもそも人じゃないのでナンセンスですけどね。

こういった関係でよくある、人の死を傍観するだけの者に食ってかかるシーン。例に漏れずあるのですが、これをされる度に言う側の品位が下がってしまうのであまり好きではないんですよねえ。

ヒラエスは旅路の果て 1巻
ヒラエスは旅路の果て 1巻

何で「人の死」に対して「悲しまなければ悪」とまで思ってしまうのか、相手は不老不死と神であって、普通の人と比べるだけ間違いですし、普通の人であってもその感情が欠けてるから悪かとまでは、僕は思えないという思考です。まあ、どうかしてるなとは思いますが…。

この神様と不老不死というキャラが、足下がおぼつかないミカの案内役のようなもので、道中でのミカの心の変化を支える基盤になるのだと思います。それだけ二人はブレないし、ブレてほしくない。

日々野には少しブレるエピソードがあってもいいですけどね。その時は、何か救いのあるお話を期待します。

ゴールである黄泉の国で、ミカが出す結論がこのお話の全て。こんな人智を越えた二人と旅をして得られる物は計り知れないですから、そこまで見届けたい気もします。

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