ひらばのひと / 久世番子 1巻 感想

ひらばのひと / 久世番子 1巻 感想

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3.0

講談師として修行中の泉花と、弟弟子の泉太郎。女性が多いと言われる講談師の中で、珍しく現れた男性の講談師。見習いでありながらちやほやされる泉太郎に、泉花含め、先輩の女性講談師はみな思うところもあった。

そんな視線もさておき泉太郎はマイペースに講談に励むが、ある日、自分は講談師としてやっていくにはタイミングが遅かったのではないかと思い詰める。

先輩の泉花へ相談するが、厳しい言葉をかけられてしまう。しかしその言葉は、苦労してきた泉花の思いの丈をぶつけた言葉。泉太郎には確かに響いていた。

そしてある時ひょんなことから、道端で講談をすることになった。続けることを悩んではいたが、始めてみれば勢いは止まらない。やはり、自分にとって講談は楽しく、続けたいことだと気付いた。

今も昔も、間に合わなかった時代というのはある。タイミングではなく、今が大事だということを師匠は教えてくれた。
男性の少ない講談師の世界で、前座から一歩ずつ階段を上がっていく。

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【感想】

講談を題材にした青年の成長物語。テレビにもよく出演される講談師の神田伯山さん監修です。

監修、といっても講談の部分がメインで、漫画としてはそれなりのキャリアもある久世番子さんのテイストがしっかり出ていて盤石です。

始めの一話は読み切り版。先輩の泉花がメインとなり、女性の多い講談の世界での女性の苦労や下積み時代の苦労が描かれます。そこで本作の主人公、弟弟子の泉太郎も登場し、本編はその泉太郎がメインとなり話が進みます。

講談師って男性は少ないのですね。初めて知りました。そもそも神田伯山さんがテレビに出られる前までは講談というもの自体を知らなかったので、この方の影響力やメディアの力はすごいなと思います。

そして、講談漫画。落語と比べられることのある講談ですが、落語と言えば最近では昭和元禄落語心中という人気作もありますが、講談漫画というの聞いたことがない…。
でもこういった、まだメジャーではない題材やニッチなテーマに気軽に触れられるのが漫画の最大の特長であり、僕が漫画を好きな理由でもあります。

テーマは講談ですが、物語は青年の成長もの。伝統芸能ということで、上下関係も古いしきたりがあったりして大変そうです。
また、女性ばかりの中に入り込む数少ない男性講談師の若者ということで、ある意味色んな苦労もありそうな雰囲気。

ただ、主人公の泉太郎は少しとぼけた性格で、叱責や陰口等もあまり気にしなさそうなあっけらかんな性格。そして何より講談が好き。こういうふわっとした性格だからこそ、男性が少ないというアウェイな環境でもメンタル的にやられることなく続けていけそうな安心感があります。

そんな泉太郎の物語、のはずですが、作品全体的に、少しジェンダーの問題を取り入れすぎているような気もします。正直、男性か女性かなんてそれぞれに良さがあって優劣を付けるものではないはずですが、どうやらそうもいかないらしく、泉花も泉太郎も自分の性が理由で物語が動きがち。小ネタもそういうのが多いです。なんか、読みたいのはこういうことではないんだよなあ、というのが正直なところ。

一流の講談師として成長していく過程で、泉太郎や泉花に起こる苦難や壁を描いて欲しいのですが、1巻ではあまりぱっとしない印象でした。

それでも講談というテーマで今後どういう物語が綴られるのかというのは単純に興味はあり、続きが気になるというのも本当のところ。

講談についてもかなり調べられているようで、神田伯山監修ということもありベースはかなりしっかりしている印象です。こういった専門的な分野はこの辺が疎かですと悪目立ちするのですが、そういった心配はなさそうです。詳しくないので素人目線の感覚ですが…。

なので、あとは物語の展開次第。1巻はまだこれからといった感じですが、あまり見ないテーマな分、見届けたい気持ちです。

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