勇気あるものより散れ / 相田裕 1巻 感想

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明治七年、元会津藩士の鬼生田春安は戊辰戦争で家族を亡くし、戦に負けて以降、独り身となり死に場所を探していた。

内務卿、大久保利通暗殺の任務のため、仲間と共に暗闇の中奇襲を掛けた春安。

すると籠から飛び出したのは一人の袴を着た女の子。剣の手練れで春安は苦戦するが、一太刀を浴びせる。

しかし彼女の髪が白く染まると同時に、傷が塞がっていく。呆気にとられる間に春安は刺され敗北を喫す。

死を望む春安を見た彼女は、春安を生かすことを決めた。自らの血を飲ませると春安の傷は回復していった。

彼女はシノと言い、「半隠る化野民(はたかくるあだしののたみ)」と呼ばれる人間。

何百年も前に、化野という場所に訪れたある飢えた村人たちが、特殊な力を得て不死身となったという逸話がある。彼らを化野民と言い、シノは化野民と普通の人間とのハーフ。

彼女の目的は、化野民である母を殺し、自分も死ぬ、というものだった。

死を望む春安を妬み、自分の眷属として従えることにしたシノ。眷属となった春安は死に損なった身として、シノの目的のため仕えることを決めた。

【感想】

「GUNSLINGERS GIRL」の相田裕先生の新作。「1518!」も根強く人気はありましたが、今回はガンスリのテイストに近い時代アクションもの。

不死身の袴女子シノと、その眷属となった侍、春安がシノの目的のため行動を共にして政府に向かっていくという物語。

春安は戦争が終わってからは既に精神的にも死んだ身。家族にも死なれ、廃刀令も出る。侍の時代は終わったとも感じていて、シノに負けたときには死を望みすらしていましたが、シノの目的も同じく「死ぬこと」。

シノの場合は、不死身の体を得て不遇の扱いを受けてしまった母親と自分の死を望んでおり、ただし不死身のため特別な刀でしか死ぬことが出来ない。

春安が死を得られようとするのを妬ましく思ってしまい、眷属としますが春安は逆にそれを生きる目的に変換し、手を組むようになります。

不死身な体だが死を望む、というのは最近だと「アンデッドアンラック」などそうですが、今作はアンデッドアンラックのように自分の体でトリッキーな戦い方は当然しません。

シノは刀の扱いには長けているので、春安含め白兵戦の描写は見所があります。見た目もかわいらしく、そのギャップも良いのでそれだけで華があります。

シノの目的は「母親殺し」という、公には中々認められづらいことで、春安も母親を亡くしていますので思うところもあるのですが、それでもシノの境遇を慮って力を貸す春安の割り切りの良さも魅力。

化野民という不死身の人間たちは政府に匿われて生活していて、シノは政府に従うことが盟約となっています。

そのため母親殺しとは政府への反逆も意味しているので、相手としてはかなり大きい。

それでも母親の救いを求めて体一つで行動するシノの気概は凄いもので、その心の強さには春安も感化されます。おそらく読者も春安に共感するところは多い。

時代もの独特のダークさはありつつも、絵柄はポップなので読みやすい。物語の展開は1巻にしてかなりのスピード感があるので、短めに終わる構想なのかなとも思ってしまいましたが、展開が早い割に読み応えがあったので良かった。

しっかりある設定を説明しつつ、物語はがっつり動くので1巻の完成度は中々高いと思います。

シノと春安の行く末を最後まで見届けたいですね。オススメです。