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夫に先立たれ、好きだった料理にも身が入らなくなっていた女性、八雲さん。隣に越してきた野球部の高校生、大和に思いつきでおにぎりをおすそわけするとその場でペロリ。それ以降、大和を家に呼んでは料理を振る舞う生活を続けている。
未亡人の女性と野球部の高校生との料理を通じた疑似家族もの。
【感想】
料理ものではなく、特殊な付き合い方の二人の料理を通した物語。
料理を作るのが好きというよりも、料理を食べてもらうのが好きな八雲さん。手の込んだ料理も大和のために準備しますが、おいしいとは言ってくれないところを気にしつつも、黙々と食べ、ご飯をおかわりしてくれたときが、最高の喜びなのだといいます。
料理はやはり、丹精込めて作ったらレスポンスは欲しいところですが、この関係はあくまで八雲さんの寂しさを埋めてくれる大和と、食い扶持を用意してくれる八雲との持ちつ持たれつのものなので、お互いたぶん高望みは出来ないですし、そういうことでもないのでしょう。
八雲さんは見た目やスタイル的にいかにも男受けしそうな雰囲気ですが、大和が野球一筋で恋愛は今はしないという意識なので、何とか成り立っている関係のような気もします。
と言っても多少どきっとするシーンも描かれるので、これから恋愛ものにも出来そうですし、ほっこりしたホームコメディ的なものにも出来そうなので、どう転ばすかは気になりますね。
大和は野球部特待生として遠くから越してきて、これまで家族とはご飯の時間が合わず、しっかりしたご飯を食べてきていなかったということで、八雲さんのご飯は素直においしいと思えています。
でも、あまり八雲さんに対する感謝や自分の気持ちのようなものが描かれないので、どういう思いで今の関係を続けているのかがあまり読みとれず、徐々に掘り下げてもらえればなあと思います。
後半では大和の幼なじみが登場し、この子がなかなかパンチが効いていて。急にコメディ要素が強くなって楽しくなりました。野球好きの女の子って好きですね。
ハートフルな疑似家族要素プラス、八雲さんが未亡人ということで少しアンニュイな雰囲気もあり、独特な空気感。お隣さん同士の現実ではあり得なさそうな交流が、漫画ではどういった付き合い方になるのか進展の仕方も気になるところです。
既刊9巻ということで、そこまで何やるんだろうという気もしますが、恋愛ものにしろ日常ものにしろ、そこまで人気が続いているというのは喜ばしいところですね。