タコピーの原罪 / タイザン5 上巻 感想

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ハッピー星から地球へ降りたったハッピー星人。地球で路頭に迷っていたところ、小学生のしずかちゃんに拾われる。

しずかちゃんに「タコピー」と名付けられ、恩を感じるタコピー。タコピーはしずかちゃんにお礼をするため、ハッピー道具を披露するもしずかちゃんの反応は薄い。

しずかちゃんは学校でいじめられていた。
しかし「いじめ」をよく理解できないタコピーは、しずかちゃんを喜ばせる一心でハッピー道具を披露する。

ある時、しずかちゃんは限界を迎える。
それでも変わらず笑顔でハッピー道具を渡すタコピーだったが、その道具でしずかちゃんは行動に出る。

【感想】

謎の異星人と、いじめられている小学生との交流から始まるお話。ポップなタコピーのキャラとダークないじめという題材が独特な雰囲気を醸し出している怪作。

タコピーはいわゆるドラえもんのような、何でもありの秘密道具を沢山持っていて、地球に幸せをもたらすために降りてきたそう。

言語のコミュニケーションは問題なく、明るくて優しい性格。ただし人間の心を慮る能力が欠如していて、しずかちゃんが苦しんでいることに気付けず、場の空気も読めない。

だからとんちんかんな台詞も吐きますし、斜め上の道具を披露してきます。それをしずかちゃんは優しく受け入れてくれますが、とうとう…というところで衝撃的な1話の出来事とその後の展開。

タイトルである「原罪」とはこのタコピーの残酷すぎる無垢さのことを言うのでしょうか。明るく純粋なキャラが事態を暗転させていくストーリーはなかなかエグい。

1話でかなりの完成度を保ちながら、物語はタイムリープものとして機能していき、その後はサスペンスのような展開も。主人公のしずかちゃんの他にもキャラの立った登場人物が複数いて、それぞれが葛藤を抱えているという何とも暗い世界観ですが…引き込まれる要素はたくさんあります。

人の心が分からない純粋なヤバいやつという、タコピーは何となくイメージはまどマギのきゅうべえに近いですが、きゅうべえとは違い、世界よりも「しずかちゃん」を幸せにすることを目的としている分、人間と関わりを深めていくことで少しずつ人間を理解していく流れは素晴らしいです。

なのでエグさはありつつも希望も垣間見える物語展開なのでそこまで読後感は悪くなく、よく見かけるただただ心証が悪くなるような作品とは異なります。

上下巻構成ということで結末までしっかり決まっているものだと思います。これは大正解。続きも期待です。

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