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この世界には魔法が浸透しており、日々の生活を豊かにしてくれている。しかし、魔法を使えるのは魔法使いだけ。ただの人間は魔法を恵んでもらうことしかできない。
仕立屋の娘、ココは母親と二人暮らし。店の手伝いをしながら生活をしている。
ココは小さい頃、お城のお祭りで出会った仮面を付けた魔法使いから、絵本とペンを買った。それ以来、魔法に憧れ、魔法使いになることを夢見ている。普通の人間は魔法使いにはなれないことを知っているが、諦めきれず憧れだけが強くなっていった。
ある日お客として店に来たキーフリーという男が、ひょんなトラブルから魔法使いだということを知る。
トラブルを解決するためにキーフリーは魔法を使うことになるが、魔法をかける姿は誰にも見せてはいけないという。
しかし我慢できなかったココは屋根裏から覗き見、魔法はペンで模様を描くことで使うことが出来ることを知った。
小さい頃貰った絵本とペンの使い方を知ったココは、好奇心から魔法を試す。ある魔法を使った際、キーフリーが止めに入るが時既に遅し。ココの母親もろとも、家を石化させてしまった。
危険な魔法があることから「魔法」に関することは全て秘密裏にされ、魔法使いと呼ばれる者だけの間で管理されることになっていた。
普通の人間であるココは、その魔法の秘密に足を踏み入れてしまった。母親を元に戻すには使ってしまった魔法について調べなければならない。
本来ならば秘密を知った人間は記憶を消されるところだが、キーフリーはココに魔法道具を渡した仮面の魔法使いが気になっていた。そこで、キーフリーは弟子としてココを迎えることを提案する。ココは母親を助けるため、魔法使いになることを決めた。
【感想】
魔法に憧れる女の子が主人公のファンタジーもの。ただ、一般的な魔法使いの扱われ方が、この作品では違いました。
ここでは魔法使いとは生まれ持った才能というわけではなく、魔法のペンさえあれば誰でも魔法使いになれます。
ただ、その秘密は一部の人間しか知らず、一般の人たちにはあたかも、魔法使いは特別な存在として認識されている、というのが面白い点。その長年守り続けてきた秘密に綻びが生じてしまった、その原因が主人公という位置付けです。
主人公のココは年齢が幼いのもあって、好奇心が勝ってしまう、よくあるトラブルメーカー的な性格ですので見る人によっては気になるかもしれませんが、個人的には一生懸命さが健気でかわいらしく思います。
ただ、お母さんが固まってしまったことに対してのシーンはもう少し欲しかったですねえ…。魔法使いになる一番の動機なのに、淡泊な印象になってしまいました。これはココの性格に難があるわけではないので悪しからず。
師匠のキーフリーのもとで学ぶことになるので、他のお弟子さんとの交流も。学園物、とまではいかないながらも、癖のある同士たちと共に生活することになります。
ただ、普通の人間であるココは異端児として既に有名になっていて、普通の魔法使いとは違う立場で修行を重ねますのでこれから人一倍大変になるでしょうが…。
でもココは普段はあわあわした頼りない性格ですが、ポジティブでいざというときには行動力もあり機転も利くので、厳しい環境でもなんとかやっていけそう。むしろこれからの成長が楽しみ。
しかし好奇心が勝ったとは言え、ココは誰かの企みでこうなってしまったわけで、1巻の終わりの方では話が急展開します。
この点はある意味、キーフリーがメインとなるところもあり、ココはキーフリーに取って重要人物。だからこそ記憶も消せませんでしたし、自分の管理下で育てることになる。第二の主人公とも言うべきですかね。しばらくのメインストーリーはおそらくこちらでしょうし。
絵は緻密で、でも暖かい印象も与えていて個人的には好きなタイプ。コメディシーンのデフォルメ調もかわいらしくて好きなので、メリハリがあって良いですね。
導入は普通の作品なら暗くなりそうなものですが、思ったよりあっけらかんと話が進んでいくのであまり重苦しい雰囲気にはならずに読めました。これは見せ方の問題でしょうね。
ただ後半は不穏な空気が漂い始めてますので次巻では不明点が判明していくのでしょう。2巻も期待です。