とんがり帽子のアトリエ / 白浜鴎 2巻 感想 【ネタバレあり】

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仮面の魔法使いを追いかけるココは、魔法により別の空間へ誘われてしまった。ココを追いかけたアガット、リチェ、テティアも巻き込まれてしまう。そして、そこでドラゴンと遭遇する。

四人はこの空間から脱出するため、ドラゴンを退ける策を練る。四人は協力し、ドラゴンを一時不能にすることに成功。空間を作る魔法陣を消し、駆けつけたキーフリーの助けもあり無事脱出する。

キーフリーのアトリエへ戻り、日常へ。ココは徐々に魔法を上達させていく。
そこへ一人の男が。名をオルーギオと言う。キーフリーの親友で、アトリエを見張る「見張りの眼」という任に就いている。

郊外の小さなアトリエには、問題の隠匿を防ぐため別の魔法使いが見張りをする決まりになっている。キーフリーはまさに問題を隠匿している立場で、オルーギオはココを魔警団に引き渡す立場。
魔警団とは、禁止魔法に手を出した者や魔法の秘密を知った者の記憶を消し去ることを仕事とする、「魔法使いの警察」。
しかし規則的で無情な魔警団にココを渡したくないキーフリーは、オルーギオに協力を求め、オルーギオも事件が起きるまでは何も報告しないと言った。

ある時、近くの川の橋が落ち辻馬車が取り残されてしまい、一人の男がアトリエへ助けを求めに来た。
キーフリー達は川へ助けに向かう。そして、人一倍結果を求めるアガットもオルーギオと共にいち早く現場へ向かった。

キーフリーとオルーギオの活躍で辻馬車は救出したものの、トラブルが続く。
一人の男の子が崖下へ転落してしまう。しかしココとアガット以外は別の現場を見に行ってしまい、二人で助ける他なくなってしまった。

結果を出すチャンスと取るアガットだが、プレッシャーから力が出せない。しかしココの必死さに我に返り、二人は協力して男の子の救出に成功する。

そこへ、魔警団が現れる。ココが男の子を助けるために使った魔法は、川全体に影響を及ぼしていた。禁止魔法を疑われたココは、記憶を消される窮地に陥る。

【感想】

アイデア勝負の魔法使いファンタジー。この巻では弟子の女の子四人の活躍が目を見張りました。

ドラゴンを退ける場面、随分かわいらしい方法でまあ…。ここでは四人がそれぞれ分担し役割を担っていたのが良かったですね。協力プレイ好きです。あとみんな良い子で。テティアは天使かってくらいですね。こんな純粋に気遣いの出来る女の子キャラ珍しい。

一人目立ってるのが、アガット。男の子を助ける場面を見る限り、いいところの出で、家では落ちこぼれだったようです。「あの人」に認められるために、と言っているのでコンプレックスが強いのでしょう。また、その焦りを周りの大人が気付いているというのが良いです。まあ当然気付くでしょうが、気にかけてるシーンを入れてくれているので安心します。

弟子の三人はココのトラブルに巻き込まれてしまいますが、険悪にならず助け合おうという精神がベースなのが好みです。読者側がココにどう思うかは別として、個人的には作品内でギスギスはして欲しくないという希望です。特に、ココのような一生懸命なタイプに対しては。

それとこの巻では大人がもう一人登場。
キーフリーを見て見ぬ振りする同罪となりますが、親友とのことで良しとしましょう。まあこういった任に知人をつけるというのは問題アリな気もしますが。それともなった後仲良くなったのかな。

ココがドラゴンの空間から出る際に、仮面の魔法使いに何かされた伏線がおそらく最後の話の魔法の現象でしょうか。「つばあり帽」と呼ばれ警戒されていますが、その目的は不明。気になりますねえ。

ストーリーは案外王道で進んでいくようで、雰囲気重視のお話にはならないようでそれはそれで良いかもしれません。絵柄を考えると意外な気もしますが。
突出して心を動かされる物語ではありませんが、アイデアを出し合って困難を切り抜けていく様子は、女の子達のかわいさもあって穏やかに見ていられます。ドラゴンのシーンもあまりヒヤヒヤしませんでしたし…。笑

しかし、魔法の設定が良く出来ていますが、これは魔法陣をうまく描くことがすごい魔法使いということなのでしょうか。極端に言えば、うまい人が描いた魔法陣を使えば誰でもすごい魔法が使えるということになります。

よくある魔法のパワーは、その人が持っている魔力により差があり、物差しではうまく計れない抽象的な差が多い気がします。それか、得意魔法が各キャラにあってその性質で必然的に強い弱いが決まる(使いこなせるかどうかのキャラの性格や地頭も重要ですが)といった場合などもあります。
ただ、この作品の場合そういったことがなさそうなので、最終的にはアイデア勝負になるのかなと。もしくは強力な魔法陣を知っているかどうか。
この後、魔法の使われ方もどういうパターンがあるのか、楽しみです。

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