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20世紀後半、突如沸いた異性物「イペリット」によって人類がことごとく滅ぼされ、時は21世紀。世界は、その異性物が出す毒ガスに覆われ廃墟と化していた。
ガスの届かない山頂へ足を運ぶデルウハ。人類の生き残りに望みを託すも、そこも廃墟となっていた。
自害を試みるが、近くに残っていた地下研究施設の人間に助けられる。
そこの施設で研究されていたのは、ハントレスという女狩人たち。イペリットに対抗する手段として、人体実験により作られた戦士だった。
怪力と並外れた身体能力を持ち、イペリットに白兵戦で勝利する程の力を持つハントレス。ただし防御力が致命的に弱いのが難点だった。
しかし、彼女らは死んでもしばらくすると、死ぬ約一時間前までの損傷のない体に再生をするのだった。記憶もその一時間前までの記憶となる。
ハントレスの存在を喜々とするデルウハ。彼は、元軍人。それも隊長として、砲の腕前も達者な実力者だった。
しかし彼には悪癖があった。隊を乱す者や、作戦に支障の出る者を躊躇なく殺す「仲間殺し」の悪癖。自分に疑いがかからぬよう実行してしまうところから、周囲からは悪魔と噂されていた。
そんな彼にうってつけの、不死身の怪力戦士ハントレスたち。デルウハはハントレス達をまとめる軍隊長として、イペリットに対峙する。
【感想】
侵略された世界で生き残る為の物語。とにかくデルウハのキャラクターがこの作品の肝ですね。面白い。
「仲間殺し」を厭わない、倫理的には問題がありますが極めて合理的なやり方で、不死身のハントレス達を指揮するデルウハ。
ハントレス達は六人。それぞれ性格はバラバラで、一個隊としての統率はとてもじゃないけど取れない。
研究室の所長は、人体実験には後ろめたさを感じつつもイペリットに対するためには仕方ないという名目で続けています。少し臆病で弱気な性格なので、自由気ままなハントレス達をまとめる器ではありません。
そこに現れたのがデルウハ。彼はハントレスの不死身の特性を利用して、何か都合の悪いことが起きれば彼女らを殺して一時間前の「何もなかった状態」に戻す。この冷酷で合理的なやり方が、この隊では十分に機能するという仕組み。これは面白い。
軍人として優秀な彼が、異性物に対して強力なコマを手に入れ奮闘する物語。ただ本人は世界をどうこうするというような思想ではなく、ただ日々の食事にあり付ければいいというくらいのもの。
少年漫画的ではなく、ダークな方向に向いた主人公が戦闘や仲間内のいざこざをどう解決していくかという部分がメインで、それだけで十分面白いです。
今後はこの流れを軸に、何か事件や異性物の謎などの方向にシフトして大きく展開していくと思いますが、そうなれば更に期待できそうな予感です。