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お試しで付き合うことになったみつみと志摩。浮かれているみつみとは裏腹に志摩は何か浮かない顔。
志摩とクリスの家での会話。
今までモテモテな人生を歩んでいた志摩でしたが、「とりあえず付き合う」で色々面倒ごとにもなった経験があり、今はちゃんと断ったりもしています。それでもみつみなら、と思って付き合うことになった。人としては好き。それでもみつみが思う「好き」と同じなのか、それはよくわからない。うじうじしてしまう志摩にクリスは苛立っていますが…笑
志摩は子供の頃から他人の顔色を伺って一番波風の立たない生き方をしてきて、自分の感情というものが自分でもわからない状態。親の言いなりになっていた子役時代の影響のようです。
仲良くしているみつみと志摩にクラスメイトから関係を聞かれるシーン、「付き合ってるの?」と聞かれますが、「そんなわけないか笑」と少しみつみが馬鹿にされたように言われてしまいます。
釣り合わなく見えるカップルにありがちなシーンですが、ここで何も言わなかった志摩と何か言ってほしかったみつみとで少し心のズレが生じてしまいます。
たまたま現場に居合わせた八坂さんは、ここで二人の関係を知ります。八坂さんは男との距離が近すぎて女子からは警戒されているというか嫌われていますが、二人を俯瞰で見られるキャラとしてかなり優秀なポジションです。笑
「みつみは悪意に鈍い」というワードはしっくり来ますね。周りにどう見られるかあまり考えず、おかしいと思えばおかしいとはっきり言える。それに対して八坂さんは、「愛されて生きてきたんだね」という皮肉たっぷりの返しをします。
志摩はうまく世を渡っています。逆にみつみは変人。周りの空気を読んでなるべく大事にならないようにやり過ごす志摩と、間違ったことは間違っているとはっきり言えるみつみ。このズレは正直こじれそう。こじれそうだけど、二人を引き離すズレには絶対にならない、ベクトルの違うズレ。お互いが理解出来れば解決する問題だと思うのですが、最初はやっぱり上手くいかんよな~と少しこそばゆくなります。
恋愛ってエゴが正当化される珍しい事象だなとは常々思っていて、みつみがあの時「かばってほしかった」というのもある意味みつみのエゴなわけで、志摩があの判断をした理由を考慮する必要すらないというのはおかしいのでは、と思います。でも恋愛においては、みつみに同情がいってしまう。
愛されて生きてきた、と言うセリフは少し角が立っていますがこれは真理で、要は「周りの人間や環境に恵まれている」ということ。
八坂さんの言い方は少しキツいですが、間違ったことではないというのがツラい。確かに仮にみつみが子供の頃から志摩のような容姿・環境で育ったなら今のみつみが出来上がるとは思えないし、みつみ自身「今ある勇気も自信もきっと私がもともと持ってたものではない」と言ってるのでそこには気付いたのだと思います。自分は恵まれている、と自覚することは自分を俯瞰で見られる要素の大きな一つだと思います。
志摩の性格を簡単に変えることは出来ないし、そもそもそんなの烏滸がましいし、でも付き合ってるならみつみにも期待はあるし…本当にみつみが言うように、付き合うって難しい。
個人的には志摩にもみつみにも同じくらい感情移入出来てしまって、ただただ上手くいかないことが歯がゆい…。とにかく「理解」が一番重要なんですが、まずは志摩が自分の気持ちをみつみに吐き出さないと…そういうシーンがくるのが待ち遠しい。
生徒会選挙があり、会長はみつみ。あと何故か立候補してきた氏家くんが副会長に。
氏家くんは突然現れましたが中々強烈なキャラですよね。
彼はちょっと性格に難があります。不器用なので、一生懸命ではありつつも足りないところがいっぱい。コミュ力の無さが壊滅的ですが、問題はそこじゃないんだよなあ…。
それでも変わろうと思って、自分を知ろうと思って立候補した生徒会選挙。結果的にみじめさを加速させることになったみたいですが、みつみの前で涙を流しながら独白するシーンはみつみの感情も揺さぶって結果的にはグッジョブじゃないかと思います。彼は彼で大変ですが、ここまで自分をどうにかしようと思っているなら、まずは謙虚な姿勢と人を見下さない余裕を持つところから始めて欲しいなと思います。
志摩とみつみのお出かけ。ピクニックです。平和を感じてそれが逆に違和感に思う志摩。「世界ってもっとグロテスクでは?」という志摩の思いはまさに志摩を形作ったものだなと妙に納得。
そして、ここでみつみがなんと友達に戻りたいと切り出します。
みつみは、自分の「好き」と志摩の「好き」は違うんじゃないかと。これから勉強や生徒会で忙しくなるのに、これ以上は悩んでいられない、と別れを切り出します。
結構さっぱりしていますが、みつみもかなり考えたんだろうなとは思います。確実に志摩のことは好きだと自覚しているはずなので。それでも志摩がこのままならきっと上手くいかないと、そう考えての決断なんでしょうね。切ない。
恋じゃなくても、どんな風に志摩と出会ってもきっと好きだから、友達になりたい。と言うみつみ。
「友達か恋人か」的な話は恋愛においては重要度が高いですよね。「友達」と言われることにショックを受けるみたいなのは恋愛漫画にありがちですが、さすがはスキップとローファー。友達・恋人問題をこんな爽やかに描くなんて。
恋としての好きと友達としての好きの違いなんてもう昔から頭痛くなるくらい使い古された命題ですが、二人が楽しくて繋がりたくていつまでも一緒にいたくて、そう思ったらそれはどっちの好きかなんて考えるだけ野暮というか正直どっちでも良くない?って個人的には思ってしまうのです。
恋愛初期って脳みそに色んな物質が流れ込んできて正常でいられない状態なだけで、落ち着いてから相手をどう見られるかが付き合う上では重要なわけです。
だから恋愛に取り憑かれてる人たちは脳内麻薬に侵されたいだけなのではという持論もあるにはあるのですが。笑
でも人間である以上その気持ちは当然わかるので、恋愛って面白いし残酷だなとも思ったりします。
志摩はたぶん、過去の影響で脳内麻薬の分泌が人より過剰に少ないんじゃないかと思います。みつみのことは間違いなく好きなので、だからみつみと長く居て一緒に過ごすことで少しずつ他人と同じ恋愛が出来るようになるんじゃないかなと思いますが、みつみも自分を顧みてある程度落ち着いたのでこういった展開になってしまったのかなあと、少し寂しい気持ち。
志摩は今は自分の気持ちがよく解っていませんが、絶対にみつみが言う「好き」に昇華できると思います。それだけ、みつみに感情を動かされてる。ただ気付いていないだけ。
とにかく志摩が自分と向き合って、みつみとも向き合って、もやもやとか解らないことも共有しあうくらいの仲になって、それで初めてスタートする恋なんじゃないかと、二人の進展に期待しつつ9巻を楽しみに待ちます。