乙嫁語り / 森薫 2巻 感想 【ネタバレあり】

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アミルは竈の日、トゴノシュ家のパリヤと出会う。パン焼きは好きで刺繍は苦手。嫁ぎ先が中々決まらず、自分の性格を気にしている女の子。

ある日、アミルやカルルクらが廟へ訪ねた帰りに、アミルの兄たちと遭遇。アミルを連れ帰りにきた彼らだが、スミスの機転で何とか逃げ切る。
町へ戻り、追いつかれるも町の人々に助けられその場はなんとか凌ぎきった。

夜、再び攻めてきたアミルの実家の人間たちに対し、町の人々は用意周到に迎撃の準備をしていた。
町の人々は敵を一網打尽にし、二度とアミルに近づかないことを警告する。

スミスの元へ、手紙が届けられた。ほとんど家族からのもので、今の町こ居心地が良く長居していたことに気付く。そして更に手紙が。当初行く予定をしていたところに連絡が付き、頼んでいた品物を引き取りに行くことになった。長く居たこの町を出るのを名残惜しくしつつも、旅を続けることとなった。

【感想】

アミルの家騒動はなんとか決着。しかし、滅茶苦茶大きい家なら報復も怖いほどですが、まあそこまでではないのでしょうか。

この作品は本当、キャラクターが本当に、生きてる感じがします。生き生きとしていると言いますか、表情が豊かで、細かな動作や心の動きが感じられて、感情移入度が高い。フィクションなのに、ノンフィクションに思えるくらい入り込んで読める希有な作品。

あととにかく、絵がすごい。細かいのも去ることながら、騒動のシーンの緊迫感も相当。コマの外を黒ベタで塗るのは過去話の際によく使われますが、ここでは夜を表現していてそのイメージが素晴らしく良いです。

あとがきでわかりますが、森薫さんが漫画に魂を入れていることがどれだけこの作品のパワーになっているか。ご本人はただ好きで描いているだけかもしれませんが、その「好き」こそ絶対的なパワーですね。
資料も相当読みあさっているようなので設定にも説得力がありますし、中央アジアの習慣など全く知らない僕ですが、一つの資料を読んでいるような感覚。
馬の足や刺繍を黙々と描いているときに生きていることを実感するとは…、これはもう本当…狂った方(最大限の褒め言葉)だなあ…。笑

アミルとカルルクのお話は一旦幕引き。語り部役のスミスは次の町へ出発します。
パリヤやティレケなど、まだまだ掘り下げられるキャラを残して旅立つのは寂しいですが、新たな乙嫁を見られるのもまた、楽しみですね。

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