恋獄の都市 / 俵京平 1巻 感想

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主人公の真はひどい不眠症に悩まされていた。毎日決まってある「夢」を見てしまい、途中で目覚めてはその後眠れなくなってしまうから。

真には好きな女の子がいた。幼なじみの愛。同じ大学にまで入り追いかけているものの、まだ思いを伝えられずにいた。
そんなとき、大学の友人からラブレターを渡して欲しいと頼まれる。直接渡した方が良いと説得し断るが、実はその相手は愛だったことに気づく。

友人に先を越される前に慌てて愛に告白しようとする真。好きだ…と口にした瞬間…

【感想】

何者かに支配された世界で足掻く、ディストピアもの。ただ、1巻では全貌は全くわからず、設定がかなり作り込まれているようで状況把握するのに何度か読み直して考えないといけませんでした…。

絶望的な世界、それに気付いているのが主人公と主人公の幼なじみの女の子、それと大学の教授の息子。
この三人が幼なじみの愛を助け出し、この異様な場所から抜け出す方法を探す物語です。

1話後半から、この世界が少しおかしいとわかってからはホラーテイストが強くなり、多少のグロ描写もあります。
また、冒頭にある幼なじみが主人公を誘惑するシーン等、エロ描写もそれなりに入っています。
そもそも作戦会議室が風呂場の地下にありその都度全裸で話し合うという、一周回ってシュールになってしまってますが…サービスシーンもそれなりに。

1話に関しては、愛への告白から徐々に不穏な空気が漂ってきて、最後に冒頭のシーンが使われますがここもちょっとしたミスリードとなっていて、そこでこの作品がSFサスペンス系の物語だと分かります。掴みとしては良かったですね。

ただその後の、この世界で分かっていることの説明や、謎を解く鍵を見てからの推測など、判明していないことが多すぎるのに説明がくどく、読者を置いてけぼりにしてキャラ同士喋ってしまっているのが気になりました。
こういった複雑な設定のものほどテンポは重要で、出来れば直感的に分かるようなエピソードか何かで世界観を説明して欲しかったです。

1巻最後は、ベタな引きなのですがホラー的要素からか少し次巻が気にはなります。
全ては2巻の進み方で決まりそうです。

以下、ネタバレ込みの感想です。

 

【ネタバレあり】

愛の首チョンパは唐突でしたね…。死ぬフラグは前のページでガンガン立っちゃいましたが…。
そういえば最近も首チョンパ見たなと思ったら、終極エンゲージですね。これもジャンプ+…まあインパクトはありますよね。

それよりも2話のりさって女の子が突然主人公の目の前に立ってるシーンがびくっとしてしまいましたが。この作者、目力がすごい。
タッチが少し小畑健に近い気もしますね。目の描き方なんかが特に。絵は上手だと思います。

また主人公の友人が、上空に現れた謎の目に気付いて主人公に不安をこぼすシーン。ここの会話劇は、この絵も相まってなんだかデスノートのような錯覚をしてしまいました。(デスノートには全く及びませんが…)
そこから流夏が出るまでの流れもなかなか良い。

ただストーリーが、設定をキャラが全部話してしまうのはなんだかもったいないような。ダミーの存在も、電車で何だこれはと主人公に印象を残すのは良かったのですが、その後落ち着いてから説明受けるのもなんだか。
まあ、これは監視されているという、そういう設定にしてしまった弊害ですねえ…。難しいところです。
でもだからこそ逆に、雪子が真を襲うシーンで胸にメモを張り付ける、というのは、おおっ、と唸りました。サービスもしつつ敵の裏をかきつつインパクトも大きい。あれがなかったら次の話読んでいなかったかもしれない、というくらいには良いシーンでした。

ただその「監視」も含め、具体的なことが何も分からないので正直この作品への判断が難しい。
とりあえず次の巻次第という感じですね。

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