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タラスを想い、ぼーっとしていたスミスはラクダから落ち湖へ落ちてしまうが、そこへ二人の少女が助けに現れる。名前はライラとレイリ。二人は双子だった。
元気で調子が良く、少し生意気な二人は婿探しに没頭中。父親に期待していない二人は、このままでは独り身になってしまう!と焦り自分たちで探し回る。
自由奔放な二人は周りに迷惑をかけることもありその都度父親に怒られる、そんな日々が続いていた。
二人には幼なじみがいた。サームとサーミ。親同士付き合いがあり、昔からよく遊んでいた。
そんな折、ライラ・レイリの父親は、サーム・サーミの父親から結婚の話を持ちかけられる。古くからの付き合いでいろいろと融通が利かせられる点で出た話だった。
結婚の話を聞いたライラ・レイリとサーム・サーミ。親同士の話し合いはよそに、どちらがどちらと結婚するか、相性を知るためのデートを決行。結果、それぞれが満足する形でペアが決まり、無事結婚することとなる。
これまで花嫁修業をしてこなかった二人は、母親の徹底スパルタ教育により家事を学ぶ。奮闘する二人。これでもう大丈夫…そして、家を出る二人を母親は涙で祝福するのだった。
【感想】
双子のお話。元気いっぱいで周囲の声も何のその。自由奔放に暴れ回る二人が本当に生き生きしていて良いですね。あんまり迷惑かけ過ぎるのもあれですけど…。
終始二人の会話がされているのでテンポが早いです。その割には会話が多すぎるせいで進みは遅く感じますが…。
お転婆娘二人と少し落ち着きのある男二人。幼なじみ同士ということですが、デートを繰り返すことでお互いの良さを知っていくというのがかわいらしい。
加えて、これまでずっと一緒だったレイリとライラが別行動をすることで、初めてと言ってもいい、お互いの知らない秘密が出来たこと。これが何となく、こそばゆく、良いです。
真珠をプレゼントしてもらったこと、ファーストキス、自分の方が良い相手だったと内心で自慢してしまうところ。幸せそうで、楽しそうで、感情が素直な子を見ているとこちらも引っ張られてしまいますね。
そして、散々口うるさかった母親の最後の教育。家を出る娘二人への手向けの言葉。
「今まで教えた事忘れないのよ」~のコマの構図、引き気味で少し下から、娘を抱く母親の後ろ姿。感動的で、このシーンは素晴らしいですね。
珍しく引用をしてみました。引用と言えるほど文章を書いていませんが…。
いつも明るく表情豊かな二人が、涙を流すシーン。ぐっと掴まれました。
森薫さんの絵は、背景や装飾が凄すぎてそちらに目がいきがちですが、個人的には人物の表情の描き方がこの人の一番の魅力だと思っています。説得力があると言いますか、感情が凄く伝わる描き方をされる方だなあと、尊敬しています。
さて、この巻ではスミスはまだ発っていませんが、次はどんな乙嫁の子でしょうか。また、ロシアとの関係、アミルの実家の絡みも不穏な空気を感じさせていますので、この辺りもどうなるやら…。楽しみです。