逃げ上手の若君 / 松井優征 1巻 感想

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1333年、鎌倉。幕府の後継である北条時行は、文武の才は無いが逃げることに関しては誰よりも秀でていた。

幕府に仕えていた足利高氏は誰からも信頼され武士の鑑と呼ばれていたが、幕府と敵対する後醍醐天皇と密かに内通し、謀反を起こした。

一瞬のうちに幕府は壊滅。鎌倉にも手が及び、時行の家族・故郷は壊滅。絶望の淵に立たされた時行の前に現れたのは信濃の国の神官、諏訪頼重だった。

胡散臭さは一級品、しかし頼重の言葉に生きる悦びを感じた時行は、逃げながら生きて英雄になることを決意。

高氏が殺さなければならない幕府の後継は、誰よりも生き延びる才能を持つ時行。逃げ続け、力をつけ、いつか追ってきた高氏を討ち取る。

頼重と時行の天下を取り返す鬼ごっこが始まる。

【感想】

ネウロや暗殺教室の著者、松井優征さんの新作。北条時行にスポットを当てた、史実に乗っ取った歴史物。

戦いは苦手、勉強も苦手、しかし逃げることに関しては誰よりも上手い。そんな時行が、逃げながら天下を取り戻す物語。

謀反を起こし、敵となった足利高氏は歴史上の人物としてのネームバリューも高いですが、時行はあまり知られていません。

そんなマイナーな人物を主人公に置いた本作ですが、「逃げ上手」という能力を少年漫画的に噛み砕いて描写しているのはとても上手いです。

戦いは苦手、と言っても攻撃が出来ないだけで、瞬発力や動体視力、足の速さなどがあまりに飛び抜けているので対面で強者に当たっても攻撃を躱し続けられるという、ある意味無敵の才能。

まあ当然それでは勝てないので、時行をサポートする面々もいて、ある戦いでは時行がトドメを刺すことになります。

回避が得意、というキャラも中にはいた気もしますが、主人公ではないよなあ…ということを考えると、この時代設定やキャラ設定はかなり考えられたものなのでは、と感心してしまいます。

史実がある分、物語の大筋は決まっていきますが、著者独特の敵の気持ち悪さやエグさで上手い具合に脚色されて、普通の歴史漫画とは一線を画す雰囲気に仕上がっています。

さすが松井先生といったところ。歴史ものが苦手で取っつきづらい方にもオススメできます。