モブ子の恋 / 田村茜 1巻 感想

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大学生の主人公、田中信子。スーパーでアルバイトを始め一年。地味で大人しく目立つのが苦手な女の子。脇役(モブ)で居ることが落ち着く信子だが、同じバイト仲間で先輩の入江のことが気になっていた。

同い年だが、困ったときにいつも助けてくれる入江に少しずつ惹かれていきつつも、自身のない信子は距離を全く縮められずに一年が経っている。

そんな折、新しくバイトとして入った元気な女の子の安部、先輩で調子の良い男の子、金子らを通じて、信子と入江の恋が少しずつ動き出していく。

【感想】

引っ込み思案な性格の信子を脇役(モブ)とかけて「モブ子」とした、控えめな女の子の恋愛ものです。

モブ子の習性、という括りで控えめな女の子の性格あるあるが随所に出てきます。普段は主人公になれない女の子も、自分の人生では自分が主人公。少しずつ踏み出していく感じがとても良いです。

男の子側、入江くんも人当たりはいいけれど自己主張は得意な方ではなく、不器用な性格。なので二人だけではあと一歩が進展せず、そこで同僚の出番。入江側に金子さんというちょっとチャラめな先輩。モブ子側に安部さんという新人の元気な後輩。

安部さんはちょっとおせっかいなところがありつつも、優しい子であまり嫌味はないです。モブ子はまだ入江への気持ちを周りには言えずにいますが、なかなか動かないモブ子の恋の背中を押してくれるキャラとしてこのまま居て欲しいです。

後半で入江くんの気持ちも少し明らかに。これは良かった。ハッピーしかない。少女漫画ではなく、ゼノンコミックスでこういった恋愛ものというのは、少し安心感があります。
モブ子の性格が作品の中でしっかり受け入れられているので、その性格が変に災いすることはないような気がして、安心。進みは遅いかもしれませんが、それでいいです。モブ子の性格を説教するようなキャラが出てこないことを願います。

ゆったりした雰囲気で、人の良さそうなキャラ達ばかり。ある意味、登場人物みんなモブとも言えるような、突出したキャラは居なく、それがいい味になっている気がします。
恋愛漫画によくある嫌なエピソードもなさそうなので好きなタイプの作品。強いて言えば、あまり間延びさせずに完結させて欲しいということくらいでしょうか。きっと、いつまでも見ていたい気持ちと区切りを付けて欲しい気持ちが混在して迷ってしまうような気もしますが。
既刊7巻ということで、きっとそれなりに関係は進展しているんだろうなあ。続きも読みます。

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