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高校への進学を機に、叔父さんの住むアパートへ居候することになった直達。最寄り駅に着いた頃、迎えに来たのは叔父さんではなく26歳のOL・榊さんだった。
案内された家には、榊さんの他に女装の占い師である泉谷、世界を渡る大学教授、そして脱サラをし親に内緒で漫画家をしていた叔父さんの四人が暮らしていた。ここに直達が加わることとなる。
直達は大人の女性である榊さんに少し惹かれ始めるが、榊さんの母親は過去、直達の父親と不倫関係にあった。直達の父は家庭に戻ってきていたが、榊さんの母は今も戻っていない。
複雑な人間関係の中、直達の高校生活と不思議な住人との共同生活が始まる。
【感想】
高校生の主人公を中心に、狭いコミュニティでの人間関係をじっくりと描いた作品。
爆発力はないものの、各キャラのやりとりや心の動き一つ一つが妙にリアルで、と思えば少しとぼけた感じは漫画風でもあって、なんだか不思議な作品。
前作「子供はわかってあげない」でもこうした人の心の機微のようなものを作者独特のテンポで描ききっていました。今作も前作に劣らず面白い。
直達と榊さんの微妙に気まずい関係が作中で徐々に明らかにされていき、読者としてもだんだんハラハラしてくるような展開。そして事件は起きるわけで…。
高校生である直達と、26歳社会人の榊さん。想像以上に直達はしっかりしていて、想像以上に榊さんは過去に縛られている。
大人と子供。その線引きは果たして正しいものなのでしょうか。そんな問いに答えを出してくれそうな物語。
会話が多く、どちらかというとドラマに向いていそうな内容。それでも、独特の間や時折挟むギャグのノリは漫画ならでは。泉谷の妹が直達と同級生で、途中からよく家にも顔を出しますがこの子が良いキャラで好きです。
話の起伏があまりないのですが、それでも止まらず読み進められてしまうというのは実はかなりすごいことで、だいたい僕の場合は途中で飽きてしまうことが多いのですが今作はそれがなく。
箱庭的な作品は割とそうなりがちなのですが、各登場人物に感情移入出来ていることが良いのかもしれません。
またほんの些細な関係の変化を、絶妙に物語に落とし込んでくれているおかげですね。凄いです。
3巻で完結しているようで、これまた素晴らしい。もうそれなりに話題にはなっていましたが、人気に違わずおすすめです。
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