恋文 山本崇一郎短編集 / 山本崇一朗 感想

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「恋文」
主人公は好きな女の子から、ラブレターを渡された。もしやこれは…と思ったら実は主人公の友達に宛てたものだった。
主人公もラブレターを書いていたが、友達のことが好きなその子には渡せず。捨てようと思った矢先、その子にその現場を見られ…。

【感想】

かわいい青春ラブコメ。振り回されるのがいつも男、というのはこの人の得意な作り。オチもかわいいです。

「まちにまったおとなりさん」
田舎に住む主人公の男の子の、隣に引っ越してきたのは同い年の女の子。
男の子は期待を膨らませるも、その女の子は人間ではなく、怪力でキバを持ったキョンシーだった。札の代わりにマフラーをしているが、そのマフラーを取ると…?

【感想】

ふだつきのキョーコちゃん」のプロトタイプとなった作品。気の強い女の子の、マフラーを取ったときのギャップが全て。
生き生きした女の子を描くのが上手です。

「ネコのオッサン」
お母さんが拾ってきたという猫。家族や周りには猫に見えるらしいが、主人公の男にはどう見ても、オッサンにしか見えなかった…。

【感想】

新人コミック大賞作だそうです。奇抜な設定ですが、短編コメディとしては上出来の面白さ。恋愛もちょこっと入っていて、オチがダブルでついているのも良い。オッサンのうざいキャラと見た目がインパクト大。

「ササに願いを★」
小さな女の子、ササと一緒に暮らす男の子と女の子。見た目はササが幼いが、実はその男の子と女の子のお姉ちゃん。どうやら理由あって幼くなってしまったらしい。
全く喋らないササが、あるきっかけで喋ったときに…?

【感想】

「いきなり100話目」という企画で描いた作品。8ページでしかもこの意味不明な企画ということもあり、何一つわからない内容。オチも全く落ちてないのでぽかんとしたまま一瞬で終わってしまいました。

「怪獣のトカゲ」
飼い犬が山に逃げたので、追いかけるとトカゲのような女の子に遭遇。怪獣を自称するが、いろいろとトカゲ。強気な物言いとは裏腹に実は寂しがりなトカゲの女の子。友達として家について行きたいと言うので、連れて帰るが…。

【感想】

人外もの。主人公の女の子(というよりお姉さん)のサバサバしたキャラがトカゲの女の子の空回りを引き立たせてます。
こういった気弱なのに強がる女の子キャラを描くのが上手いですね。

「松本エーコは普通の子」
普通で特徴のないエーコ。友達にもネタにされるがあんまり気にしてない。ところが偶然、好きな男の子がエーコに気がない理由を「普通」だから、と聞いてしまう。
振り向かせたいエーコは普通から脱しようと友達に泣きつくが…。

【感想】

最後が特におもしろい。どこまでも普通、というのはここまでか、と逆に感心してしまいました。「普通」がキャラとして定着しているのは「苺ましまろ」の千佳を思い出しますね。

「みならいウィッチ」
姉ヨーコ、妹マキの暮らす家に、突然家にやってきた女の子は魔女見習い。メイドとして置いてくれるよう頼みこまれ、マキは嫌がるもヨーコはおもしろ半分で許可。
お手伝いとして働くも全く役に立たず、挙げ句迷惑ばかりかけてしまうが、一つだけ得意なことがあり…。

【感想】

ドジっ娘キャラもの。ポンコツキャラを描きたくて、というのが作者談。
ポンコツでも一生懸命なので嫌みはあまりないです。ただ話としてはあまり起伏がなく普通でした。

【全体感想】

各話外れは少ないです。キャラクターが生き生きとして、表情豊かなのが素敵です。
かわいい女の子を描くのがとても上手で、ツボを分かっているというか、男性読者にウケそう。
線がはっきりしていて読みやすい絵なので、すらすら読めます。

ウブな雰囲気が好きな人は間違いなく読むべき。

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