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人と関わることを避けて暮らす女子高生の星川雫。彼女は誰にも見せずに隠れて小説を書いていたが、ある日その小説をクラスメイトの朝香夏織に読まれてしまう。
作品を貶されると思っていた雫だが、夏織の感想は正反対だった。
愛想が良くクラスでも人気な夏織だが、実は小説が好き。雫の小説に感銘を受けた夏織は続きを書いてと頼むが雫はもう小説を書くことは辞めようと思っていた。
テーマもなく、もう書けないという雫に対し、引き下がりたくない夏織はある提案をする…。
【感想】
小説を通して始まる女子同士の恋愛もの。スタンダードな百合ですね。
主人公の雫はネガティブで人との接触を避けている暗いタイプ。何やら暗い過去があるようで、隠れて書いた小説も、書き終えてすぐ何かのけじめのように削除してしまいます。
お相手の夏織は人付き合いが良く、笑顔が可愛い明るい子。雫とは真逆のタイプ。そんな二人が小説という接点を元に交際を始める流れ。
始まりは不自然なほどスムーズに進みます。全て夏織の押しで動く関係。流されるままの雫ですが、常にどこか心を開かない様子。しかしそれには理由がありました。ラストにその独白があり、次巻に続きます。
この理由はネタバレになるので避けますが、こうなってくると、夏織が近付いてきたことも何か裏があるのでは、と後半に来て唐突に不穏な空気を感じさせてくれる不思議な作品。ハッピーな百合モノではなかったのか…?
何気に良いなと思うのが、二人の身長差。明らかに雫の方がでかく、夏織が小さい。でも心の優位性は完全に夏織が上になってしまっていて、このギャップが良いですね。
1巻は後半の独白以外の部分はいたって普通で、良くも悪くも印象が薄いというのは否めないのですが、最後のシーンのおかげで2巻はどんな方向で進むのだろうかと気になってきます。
シンプルに可愛い百合かと思いきや、なんだか心をえぐりそうな展開が待っていそうで少し怖い気も…。