灼熱のニライカナイ / 田村隆平 1巻 感想

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警視庁で警察官を務める鮫島灼熱(ボイル)巡査。日頃の素行の悪さから目を付けられていた彼はついにクビを言い渡され小笠原の小さな島へ飛ばされてしまう。

その島の派出所で勤務する七瀬宇海に連れられ、勤務先の姉ヶ島署へ。道中、七瀬から現在捜査中の大きな事件についての詳細を聞く鮫島。

海の教団事件。新興宗教団体による集団失踪事件で、教祖や信者含め27人の行方がわからなくなっている。その団体で巫女として祀られた一人の少女がいた。その少女はイルカやジュゴンと会話が出来るといい、カルト的な注目を集めていたが、同じく行方が分からなくなっていた。しかし、三日前その少女がこの島に流れ着いたのだという。なんとイルカに運ばれて。

鮫島は姉ヶ島署で紹介を受けるが、同時に配属された男がいた。名をオルフェウス。階級は警部補。肩から上はイルカ、肩から下は人間の体を持つ不可思議な身体をしていた。

署には例の少女もいた。名をチャコと言い、オルフェウスのことをパパと呼ぶ。

当て逃げの通報を受け現場へ向かう鮫島とオルフェウス。明らかに加害者だがとぼける若いヤンキーをしょっぴく鮫島とオルフェウス。
翌日は民家で強盗事件。しかしなにやら様子がおかしい。爆弾が爆発し、陰から人の顔をしたタコが現れた。

この島の犯罪は、普通の犯罪とは違う。海洋犯罪と呼ばれる特殊な犯罪の最前線の島だった。

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【感想】

チンピラ紛いの警察官と二足歩行するイルカの警察官が、タッグを組み犯罪を取り締まるアクションもの。全体的にキャラの掛け合いも多く、コメディ色も強いです。

警察もの、とは一口に言えないほど設定がファンタジック。神託の巫女として祀られていたチャコの存在が、海洋犯罪に深く関係しているようで、この辺りの設定は興味をそそります。

ただ、せっかくのチャコの設定も、コメディに重きを置きすぎて非常に軽く見えます。意図的だと思いますが、作品全体に漂う「軽さ」が、せっかくの面白そうな設定を殺している気がしてなりません。なんか、すごくもったいない。

オルフェウスとチャコの関係も気になるところですし、そもそもオルフェウスがおかしい。イルカの上半身て。加えて教団の謎や海のギャング達の存在など面白そうな要素はあると思うのですが、何故か1巻でストーリーが何も動かないという。

5話、6話は正直何で1巻に載せたのかと疑問に思います。10巻くらい出した後とか、もうコメディとして割り切って進めるならいいですが…。
7話が巻のラストですが、正直ここで1巻が終わったことが少し信じられなかった…。とにかく、話が進んでるようで何も進んでないことが気になります。この後ストーリーが動く事件が起きることを期待したいですが、どうでしょう。

ちなみに同作者の「べるぜバブ」はジャンプを購読していたので読んでいましたが、同じような「軽さ」がありつつもあちらはコメディとシリアスのバランスが取れていたような気がします。あとヒルダが好きでした。

1話完結型で犯罪を相手にするのか、大きな目的、目標があってストーリーを進めるのか、それともただのコメディなのか、その指標をなんとなくでも1巻で把握したかったな、と思いました。

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