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魘夢の首を斬り、汽車は崩壊。乗客は、煉獄、善逸、禰豆子の活躍で死亡者はなし。魘夢は今一歩及ばず灰と散った。
戦いが収束したと思ったその時、空から何者かが現れる。両目には上弦の参の文字。突如現れた上弦の参は炭治郎を狙う。煉獄は炭治郎を庇い、煉獄vs上弦の参の戦いが始まる。
上弦の参、猗窩座(あかざ)は、煉獄の強さを認め鬼になることを提案する。鬼になれば老いることも死ぬこともなく、永遠に強くなることが出来る。しかし、煉獄はそれを拒否。老いることも死ぬことも、人間の美しさ。強さとは、肉体に対してのみ使う言葉ではないと返す。
強者同士の凄まじい競り合い。炭治郎たちはただ見届けることしかできない。
しかし、徐々に押される煉獄。傷は増え、動きも鈍くなり、ついに猗窩座の腕が煉獄の腹を貫く。
それでも怯まない煉獄は刀を振り下ろす。煉獄の執念に焦る猗窩座。そろそろ日が昇る頃。鬼にとって陽光は最大の敵。逃げようとするが、貫かれた腕を煉獄は離さない。
自らの腕を斬り落とし、猗窩座は煉獄から離れた。炭治郎の追撃も空しく、猗窩座は森に消えていった。
致命傷を負った煉獄は、死を覚悟していた。炭治郎にヒノカミ神楽について煉獄の生家に行くことを勧める。そして、初めは認めていなかった炭治郎と禰豆子を心から認め、家族たちへの遺言を残し、安らかにこの世を去った。
煉獄の訃報は方々へ伝えられた。炭治郎は、煉獄の言伝を伝えに、生家へと赴いた。
弟の千寿郎は優しく炭治郎の話を聞いたが、現れた父親は煉獄を侮蔑する。言い返す炭治郎だが、その耳飾りを見た父親は「日の呼吸」の使い手だと叫んだ。
日の呼吸とは、全ての始まりの呼吸。今ある呼吸は全て、日の呼吸の派生型だという。喧嘩になる炭治郎と父親だが、炭治郎の頭突きがヒット。その場は収まる。
ヒノカミ神楽のヒントとなりそうな書物をあたるも、父親の手で破かれ、既に読める状態ではなかった。手がかりを失うも、前を向く炭治郎。千寿郎から兄の形見である日輪刀の鍔を受け取り、煉獄家を後にした。
一人酒を飲む父親。体を気遣う煉獄からの言伝を聞き、ひっそりとその場で涙をするのであった。
蝶屋敷へ戻り、鍛錬の日々。
ある日、柱である宇髄天元がアオイたちを攫おうとしている。女の隊員が必要だと言うが、強引な宇随に炭治郎たちは怒り、炭治郎たちが代わりに行くことで宇随は折れた。次の任務は、鬼の住む遊郭だった。
【感想】
怒濤の無限列車編。出てきたばかりの煉獄の死。魘夢は全然対したことありませんでしたが、それはその後の戦いの布石でした。
魘夢はあっさりだったなあと思っていたらまさかの上弦の参の登場。たまたま近くにいたからのようです。鬼になろうと煉獄を説得する阿窩座ですが、人間の美しさを説く煉獄。このパターンは珍しくはありませんが、煉獄という人間の良さがよく分かるシーン。
戦いは拮抗しつつも、実力的にはおそらく鬼の方が上手だったように思えます。ただ煉獄の執念は相当なもので、精神力は煉獄の方が上。終盤の競り合いは見物でした。
猗窩座は逃げ切り、戦いは終わります。炭治郎のぶつけようのない怒りの叫びと、煉獄の落ち着いたセリフが対照的で、心に来ます。煉獄は負けていないと、太陽から逃げる鬼に対して叫ぶ炭治郎。その炭治郎の腹の傷を気遣う煉獄。良いですね。
その後の炭治郎への遺言。ヒノカミ神楽について、禰豆子について、これからの炭治郎たちについて。短いページ数で、言うべきことが凝縮されてとても濃い死の間際のメッセージ。笑顔で逝く煉獄に、何とも言えない気持ちになります。この喪失感は中々のものでした。
強くなればなるほど、更に強い敵が現れる。まあ、バトル漫画の宿命なんですが。笑
主人公からしたら心折られますよね。この漫画はこの辺、今までのバトル漫画では省かれていたような、当然でしょっていう心情をちゃんと書いてくれます。くどく感じることもありますが、それがこの漫画の良さなのでしょうね。炭治郎の優しい性格が、この辺り凄く上手く表現できている気がします。物語と主人公の性格がピタリとハマっていて、素晴らしいなあと。
しかし、柱の一人が早くも死ぬという展開は驚き。柱は九人と決まっているのでしょうか。穴を埋める必要があるのか、その辺はわかりませんが、鬼殺隊にとって痛いことは事実。
ただ、無惨にとってはそうでもないみたいですね。柱なんていつでも殺せるでしょ、ってスタンス。その割には全然殲滅が進んでいないような気もしますが…。
鬼殺隊も無惨も、牽制し合っていてそもそも戦いにまでもつれていないというのが実状なんでしょうね。炭治郎がいることで、その辺りがかなりスピーディに進むのは確実です。
煉獄の話でもうこの巻はお腹いっぱいでしたが…次は別の柱と任務に。もう死なないよね。