呪術廻戦 / 芥見下々 3巻 感想 【ネタバレあり】

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伏黒と釘崎の前に現れた東堂と禪院。二人に力の差を見せつけるが、東京の先輩が間に入り収束。

一ヶ月後、とある映画館で男子高校生三人の変死体が発見される。その死に体は異常なものだった。
そこへ虎杖と、五条の後輩である七海が現場へ向かい、死体の様子から呪霊の仕業と見て捜査を始める。そして映画館に現れた呪霊を殺し調べたところ、元々は人間だったことが判明した。

人間を呪いに変えていたのは、夏油と共に行動をしていた、真人(まひと)。映画館で現場に居合わせた高校生の吉野順平は真人の力に興味を持ち真人に近付いていた。
真人は魂に触れることでその生物の形を変える能力を持つ。肉体も魂もただそこに在るだけのもので、人に心など存在しないと言う。

その後の被害者を手がかりに、七海は犯人の追跡を始める。虎杖は伊地知と共に吉野順平の調査へ。
そして七海は真人にたどり着き、戦闘となる。魂に触れストックした人間を使い戦う真人に苦戦する七海。時間による呪力の解放を行い、相打ち覚悟の攻撃手段に挑む。

吉野に接触した虎杖。映画の話でウマが合い、偶然出会った吉野の母親に誘われ晩ご飯を一緒にする。楽しく食卓を囲んだその夜、吉野の母親は呪霊に襲われ亡くなってしまう。そこには、宿儺の指があった。

真人は吉野の学校に帳を展開。虎杖と吉野をぶつけて虎杖に宿儺優位の縛りを科すことが目的だった。吉野は学校で自分を蔑む生徒に報復をしていたが、そこへ虎杖が駆けつける。

【感想】

vs真人との戦いです。吉野順平のキャラクターが特に前面に押し出されていて、鬱屈した高校生の精神面が顕わになっていく様が苦しくて辛い。虎杖が救世主となれるのかどうか。

エピソードとしては少し弱めな印象の今回の編。いまいち敵の目的がはっきりせず、夏油というよりは真人の独断戦というか、映画館の事件を追ってるだけという印象が強いです。ただ、真人の側に置いた吉野順平というキャラがとにかくここでは重要。
弱い立場の順平は日頃から他人に虐げられつつも言いたいことは山ほど抱えていて、ある種達観した意見も持ち合わせていました。

そんなナイーブな少年の前に現れたのが真人。真人は極端な考えの持ち主ですが、その能力と話術であたかもその考えが正しいかのように振る舞う様に、見事に打ち抜かれる順平。それでも、そんな中で唯一「心」を感じることができた母親を殺され、いいように使われてしまうという悲しさ。

真人は「心」なんて存在しない、と言いますが、「心」を使って順平を巻き込んでいるのは真人本人ではないかと、思ってしまいますね。喜怒哀楽は魂の代謝、と言われてもよくわかりませんが、魂が形を持って見えるからただのモノと同じというのは中々に極論です。まあ…正直真人の言ってることは半分くらいよくわからないんですけど…。

作者さんは高度な中二病をこじらせた感じで、セリフ回しや会話の内容は独特で面白いです。斜に構えた感じを作中のキャラにも反映させているような、少し作者が透けて見える感じもありますがそれもこの作品の魅力なのかなと。おまけページでの作者の言い分コーナーを見る限り、自己主張強めな感じ。僕は好きですが。笑

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