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15世紀(前期)、天動説が信じられていた時代。地動説は神に背く異端の考えだとされ、異端の研究を行っていた者は拷問にかけられ殺されていた。
主人公のラファウは世渡りの上手さで孤児の身ながら大学の進学まで決める優等生だった。
合理的に物事をこなすことで自分を演じてきたラファウ。空気を読み、大学では神学を専攻することを宣言していたが、彼には一つの趣味があった。
それは、天文だった。星を見るのが好きで、天体観測が趣味だったが、大学に入る際に天文はやめろと言われてしまう。
ある時出会った一人の男、フベルト。彼は異端として一度捕まっていたが、改心をして出てくるという。フベルトの引き取りに来たラファウだが、フベルトはラファウが天文を研究していることに気付き、自分の考えである「地動説」をラファウに伝える。
初めて聞いた説にラファウは戸惑いながらも、考えれば考えるほど、その説を美しいと思ってしまう。しかし、この説を支持すれば異端として殺される。
行動を怪しまれたフベルトは、ラファウに全てを託し殺されてしまう。
理屈で言えばにわかには信じがたい説だった。そう思うラファウだったが、直感は、地動説を信じたいと思っていた。そうして彼は、フベルトの遺志を継ぎ天文を学ぶことを決意する。
【感想】
地動説がまだ信じられていなかった時代の、一人の少年の物語。
地動説を唱えれば異端者として殺されてしまう時代。ただこれは、実際の歴史ではそこまで酷くなかったらしいので、エンタメとしての誇張表現のようです。拷問シーンは多少エグい部分もあるので苦手な人は注意かも。
例の如く歴史には疎い自分は流されるがままに読みましたが、ラファウが地動説に心を動かされ、理にかなった行動が出来なくなっていく様が丁寧に描かれていて、曲げられない信念がある人はかっこいいなあと思います。自分なら前半のラファウ以上に嘘ついて逃げます。
前を向いて進むラファウですが、後半の展開はまさかというもので、驚き。これは史実にも少しなぞらえる流れなのかな?
わかりませんが、1巻は序章に過ぎなかったということだけは分かりました。
異端審問官の大男がバンバン出てくるのがちょっと気になりますが、いわゆる敵役ということで存在感はありますね。最後のシーンで少し小物に見えたのがなんか残念。
さて、相手は世界。大きすぎる敵を前に小さな力がどこまで通用していくのか。現代では既に証明されているものなので、そこまでどういった道筋を歩んでいくのか、続きが楽しみ。
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