わたしの幸せな結婚 / 原作:顎木あくみ、漫画:高坂りと 1巻 感想

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特殊な異能の家系に生まれながら、その能力を受け継がなかった主人公、斎森美世。
異能のための政略結婚であったが、異能を持つ母親は死に、父親は別の女性と関係を持っており新たに娘も生まれた。

その娘、香耶は要領が良く、母親の異能も受け継いでいた。
継母と香耶から執拗ないじめを受け、父親からも厄介者とされている美世。唯一の理解者であった幼なじみも、香耶と結婚することが決まったのだった。

邪魔者になった美世は、追い出される形で冷酷無慈悲と噂される久堂家に嫁ぐことになる。

【感想】

「小説家になろう」の小説が原作のコミカライズ。

家では散々な扱われ方をしてきた主人公、美世の物語。「異能」というワードが飛び交う割にはファンタジックな要素は描かれず、1巻はひたすら美世の紹介と嫁ぎ先である久堂家の旦那、久堂清霞との関わりについてが描かれます。

メインは恋愛の方ですかね。美世は家での酷い扱われ方から自己肯定感が著しく低く、そもそも恋愛の土俵にすら上がれていないという状況ですが、冷酷無慈悲と噂されている久堂清霞は実は良い人で、寄ってくる女性の方に問題があったというオチ。
だからこそ、清霞の心遣いが温かく感じて、まだ美世には伝わり切れていませんが少しずつ心が打ち解けてゆくのでしょうね。

斎森家があまりにも酷いので何だか虚しくなってきます。みんながみんな家系や体裁を大事にする人達ばかりなので、異能を受け継がなかった美世へのアタリが強い。
美世が受け継ぐはずだった異能が少し特殊らしく、斎森家は手放してしまいましたが、まだまだ美世を巡った争いは起こりそうな予感をさせています。

そこへ久堂家、清霞がどう出るか。振り回すのはやめてくれと、清霞には美世を守ってほしいという期待をしてしまいますが、どう展開していくのか気になるところではあります。

こういう家計争いほど人間の醜さが出る話はないですね。結局はどういう環境でもヒエラルキーというのは存在してしまって、みんな自分の地位が惜しい。幸せは人それぞれとは言いますが、人を見下して得る幸せは「幸せ」と呼んではいけないなと、こういう話を読むと思います。

絵は綺麗で全体的にかなり整っているので読みやすいです。文学少女のコミカライズをされてた作画の方ですね。儚い少女を描くのが上手です。

コミカライズということですが、何だか漫画らしさは感じにくかった1巻ではありますが、単体としてみればそれなりに。これから異能の力等が描かれるようになれば更にコミカライズの良さも増しそうです。
まあ何より、美世が幸せになる過程で今後どう言った表情を見せてくれるのか、という部分だけでコミカライズの価値はあると思うので、続刊も期待したいです。

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