青のオーケストラ / 阿久井真 1巻 感想

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中学三年の青野一。かつては天才ヴァイオリニストと呼ばれた青野だが、プロヴァイオリニストである父親との家庭内不和により、中学一年を機にヴァイオリンを弾くことを辞めてしまっていた。

ある日保健室で一人の女生徒と出会う。彼女の名は秋音律子。青野の担任である武田先生の母校でヴァイオリンをやるため、武田先生からヴァイオリンを借り練習していた。

その拙い音にイライラさせられていた青野だが、武田先生の案で青野が秋音の講師をすることに。

一度辞めたヴァイオリン、もう弾くことなどないと思っていた青野だが、一生懸命な秋音の姿を見て心を動かされもう一度弾いてみる。本当は、ヴァイオリンをやりたかった。青野にとってヴァイオリンは、簡単に切って切り離せるものではなかった。

進路に悩んでいた青野だが、武田先生から、オーケストラ部のある海幕高校を勧められ、秋音とともに無事合格をする。

音楽を続けるかどうか未だに悩む青野だが、秋音や周りの音楽仲間と関わるうちに少しずつ前を向き始める。そして、オーケストラ部の生演奏を聞き、一気にその思いは溢れだした。

一度手放したヴァイオリンに再び向き合い、オーケストラ部での新たな青春が始まる。

【感想】

オーケストラ部での青春群像劇。これ、裏サンデーレーベルとは驚き。ジャンプSQかマガジンあたりで人気が出そうな、眩しい部活ものです。

既に8巻が出ていて人気もそれなりにあるようですが、今更ながら。

主人公は少し根暗なタイプ。ただ、うじうじしている感じはなく、物事を諦めてしまっているようなひねくれたタイプの方。行動力もないわけではなく、自分もちゃんと持っている。ただ、きっかけが足りなかっただけ。

だからこそ彼女、秋音律子との出会いは物語をどんどん動かします。元々ヴァイオリン=自分、くらいに染み着いていた青野に、それを思い出させてくれる存在として現れたのが秋音。

父親との問題は多くは語られていないのですが、青野が子供ながらの反抗心で決めていただけのことで、それはまああっさり覆ります。そういうものですよね。青春です。

秋音のキャラクターは、典型的なツンデレ。気が強く不躾で主人公を引っ張り回し、かと思えば繊細な部分や友達思いな部分もある、よくあるヒロイン像。そして例に漏れずかわいい。個人的には好きなタイプのキャラ。

二人ともクラスでは浮いた存在で、そんな二人があれこれ文句言いながら仲良くヴァイオリンの練習をする…いやー、ストレート過ぎて眩しいです。鬱屈した場面や心境が描かれる部分も多く、そういう闇があるからこそ光が眩しい。

青野が二年ぶりにヴァイオリンを弾くシーン。秋音のことをわかっていなかった、ただ羨ましかっただけだったんだと自戒する青野と、青野の演奏を聴いて感動する秋音の姿。夕暮れの河原での一コマ。絵になりますねえ。これは素敵なシーン。

絵が綺麗です。とにかく。キャラクターも可愛いですし、見やすくて迫力のある絵が素晴らしい。音楽漫画はそれこそ絵で苦労するとはよく聞きますが、オーケストラ部の演奏シーンは痺れました。まだ演奏シーン自体少ないので、これから楽しみですね。

1巻ラストも良いところで区切ってきます。音楽に再チャレンジした天才・青野が部活でどれほどの力を見せるのか。ライバルも沢山いる中での活躍や挫折が今から楽しみ。しかし秋音はだいぶ苦労しそうですが…大丈夫ですかね…。笑
また、おそらく二人の恋愛もあるのではと思います。これも楽しみなポイント。

王道部活ものの1巻として、ポテンシャルの高い作品でした。続きも読みたい。

 

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