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ヴァルガルからとある報告が。マルクランドの様子を確認しようとしたところ、近づいたところでウーヌゥ人の使う矢が飛んできたと言います。
マルクランドに何かあったと感じるヴァルガル。それを聞いたトルフィンは一緒にマルクランドへ。ウーヌゥ人を疑うイーヴァルも同行。
しかし、そこには誰もいなく、人の気配もしない。イーヴァルは、ウーヌゥ人に先手を取られてやられたと思いこんでトルフィンを責め立てます。
イーヴァルはこのメンツの中ではかなり厄介人物になってますね。穏便に進めていこうとする上で邪魔になりそうな因子。ただトルフィンは今のやり方を貫く意志は強い。
この一件からウーヌゥ人に不信感を持つ人が少しずつ出始めてきました。
その不信感を拡大させるがごとく、イーヴァルが動きます。ウーヌゥ人にやられる前に、大事な物を守るために砦を作り始めます。
勿論トルフィンは砦の建築を否定。ヒルドはこの砦そのものが争いの火種になるのだとイーヴァルを説得します。
ヒルドの弁は説得力があって本当格好いい。トルフィン側で一番頭が良く行動力もある。頼もしいです。
しかしイーヴァル側につくストルクの弁で、シングを開くことに。このストルク、戦争をしたいわけではないけれど武力がないのはいざというときに心配、ということでイーヴァル側についています。
イーヴァルだけならお馬鹿なのであれですが、このストルクが少々切れ者。
シングで話し合いの最中、コーデリアが口を開き、イーヴァルが剣を持ち込んでいることを話します。
この剣の存在こそ、トルフィンが一番望まないこと。剣を渡すよう諭しますが、ストルクは武力を持つかどうかについて多数決を開催。男性陣の大半がイーヴァル側になるという結末に。
男側は自衛のために持っていないと安心して夜も眠れないと言います。今の日本では武器の所持は禁止ですが、アメリカが何故まだ銃を禁止できないのか、という部分がこの状況と似ているような気がします。結局どこかでどっちかが折れて、結果オーライで進んでいくしかないのであれば中々実現は難しい。
詳しくは知りませんが、日本で銃や刀が禁止になった背景を知ると、この辺の解決策のヒントにもなりそう。
武力は必要だという意見が多数となってしまいましたが、トルフィンはあくまで話し合いを優先。そこで、呼んでいたウーヌゥ人たちが到着します。
ウーヌゥ人の大半は友好的。ただし、一人だけ、ミスグェゲブージュという予言士の男だけがトルフィン達を驚異に感じています。
話し合いは良好で、お互い敵意はないということが確認できたかと思ったその時、ミスグェゲブージュが奪った手斧でトルフィンに襲いかかります。
トルフィンなら造作もなく対処できるはずでしたが、なんとイーヴァルが持っている剣でミスグェゲブージュの腕を一太刀。
辺りは騒然とし、トルフィンはミスグェゲブージュの治療に、ウーヌゥ人達は戸惑い、イーヴァル達はそれみたことかとウーヌゥ人の危険性を主張します。
これはやってしまった、イーヴァル…。ヒルドが代わりに怒ってくれて有り難い。何も効いていませんが。
穏便な話し合いになるはずが、しこりを残して終わってしまった。正当防衛ではありますが、問題なのは「こちらが傷つけた側」で「向こうが傷つけられた側」だといい事実。
やられたからやり返した、と言っても、見たこともない武器でいとも簡単に腕を切り落とされた現場を見たウーヌゥ人が、少しでも恐怖や疑念を感じたらお終い。だからこそ、トルフィンは剣の所持を禁止していたというのに、イーヴァルは本当…。
この事件はその後の関係に支障を来しかねません。しかしミスグェゲブージュは、それこそが狙いだったよう。去り際に、痛みに耐えながら笑みをこぼす様子をトルフィンが見ています。ミスグェゲブージュの目的は、自分が傷つけられることで達成されていたようです。
とんでもないことになり、それをどうにかしなければと思っているのが、ヒルド。ヒルドには力があり、頭も良く、自らが損な役回りを被ることも憚らない。
このヴィンランドに、イーヴァルとミスグェゲブージュは必要ない。あの二人さえ居なければ、全てが上手くいく。そう考えるヒルドは、この二人を抹殺する意志を固めます。
当然そうなればヒルドも居られなくなりますが、それも承知の上で、トルフィンの目指すものを応援する、その一心で決意。格好いいですが、トルフィンがそれを望むはずはないんですよね。ただ、ヒルドの思うところは理解できますし、難しい。
イーヴァル側の三人が森を回っていると、ガングとストルクが罠にかかります。イーヴァルはウーヌゥ人にやられたと思いますが、これはヒルドの罠。
ストルクは冷静。現時点でウーヌゥ人が友好的なことは理解していて、戦争になるとすればイーヴァルとミスグェゲブージュが原因だとイーヴァルに伝えます。頭がハテナなイーヴァル、脳筋というか戦争脳というか…。
それを聞いたイーヴァルは、戦争に憧れはあるが、自ら戦争を起こしたいわけじゃない、と言います。ここまでやっておいて、ようやく現状を少しだけ理解したイーヴァル。だいぶ遅いですが…。
しかしじゃあこの罠はいったい、というところでストルクは、ヒルドがイーヴァルを殺しに来たと察します。
そしてヒルドの登場。遠くから矢で攻撃を放ちます。
異変を感じたトルフィンは森へ。ヒルドを止めに入り、ひとまずは事なきを得ます。しかしヒルドは引かない。まだ、暗殺を続けるつもりでその場を去ってしまいます。
視点はマルクランドへ。一人生き残りを発見したヴァルガルは彼から話を聞くと、「エクスヌゴアハン」という謎の単語を発し、この辺りの先住民は死霊に取り付かれてみんな死んだと話します。そして、ヴィンランドでもそれは同じように起こる、と話すのでした。
ネズミの描写がちょくちょくあり、感染病か何かが示唆されているような感じ。史実はわかりませんが、そうなるとある意味、人よりも恐怖かもしれません。
しかし、マルクランドのみんながどこにいったかはよくわかりませんね。死体がないのはおかしいですし…。
先住民とのしこりが残ったまま、ヒルドの暗殺行動も気になり、マルクランドの様子も怪しい。なんだか不穏な空気のまま終わった27巻。順調に進んでいるようで、まだまだ安心できない感じ。トルフィンの理想も中々一筋縄ではいかないですが、スタンスが全くぶれないのがすごいので、どうにか上手く進んで欲しいですが…。続きも楽しみです。