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アメリカの大学病院に勤めていた脳外科医の三瓶友治。飼っていたラットの不手際で病院を追い出され、日本の基幹病院へと移ることになった。
研究と臨床、通常の業務をこなし、毎日仕事漬けのワーカホリックである三瓶。新しい病院でもそれは変わらなかった。
案内役である川内ミヤビとの会話中、救急の電話が入る。救急部長の星前はこの病院には重荷と判断し受け入れを断ろうとするが、それを制し患者の受け入れを許可した三瓶。
一刻を争う中、手術を開始する。三瓶はトラブルにも臆することなく手術を進め、無事、患者は一命を取り留めた。
しかし、患者が大変なのはこれから。半身不随となった患者に何をしてあげられるか。三瓶は患者にとって一番苦しい部分をどうサポート出来るかを考えていた。
世話焼きだと言う星前に対し、脳外科医は、ただ手術で治せばいいだけではなく、その後を診るのも仕事だと三瓶は諭すのだった。
【感想】
脳外科医がメインの医療もの。主人公の三瓶はちょっと気だるく眠そうな感じの天才肌なキャラ。人間味が感じにくく掴めないキャラですが、患者を思う気持ちは随所に表れていて、始めは怪訝そうにしていた周りの人達も少しずつ三瓶の良さを理解し始めていきます。
進行役は同僚の川内ミヤビという女性。基本的には三瓶視点は少なく、ミヤビ主導で物語は動いていきますが、このミヤビにとんでも設定があり…。
ミヤビは記憶障害を持っており、ある時を境に記憶が一日程度しか持たない。寝て起きたら昨日のことは忘れているという重度の障害持ちなのでした。
実はこの物語はミヤビがメインで、タイトルにもある「日記」とは、おそらくミヤビが見る三瓶を綴る、ということを表現しているようです。
三瓶の医者としての振るまいを描きながら、障害に苦しみながら負けじと働くミヤビも描く。いわばダブル主人公のようなイメージ。
脳外科医は、手術が終わった後こそ本当の戦いだと言わんばかりの三瓶の患者への思いは熱いです。熱そうに見えないキャラですが、その辺はしっかりメインキャラっぽい。
確かに、脳の病気は怖い。どこにどんな障害が表れるかわかりませんし、一度やられてしまえば治すのも困難。血が出たとか骨が折れたとか、そういう類の問題ではないので、大事なのは患者を支える精神面なのかも。そこをサポートするという考え方はかっこいい。
そこに、障害持ちであるミヤビも加わるわけです。三瓶はミヤビのサポートもしっかり行います。
記憶障害のためにうまく働けず、周りから怒られたり陰口を言われたりしても三瓶はしっかり支える。むしろ手術にも参加させたりと彼女の病院での立場も守ろうとしています。
ミヤビを軸に、三瓶が動く。一つ一つの患者のエピソードは脳外科ならではの辛さと大変さがわかる重い話ではありますが、ちゃんと救いも用意されていて読後感は悪くなく。
絵が固いので迫力や展開の驚きはあまりないのですが、じっくり読ませるタイプの良作です。
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