アンデッドアンラック / 戸塚慶文 1巻 感想

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飛び降り自殺を決意した少女、風子。野次馬が止めるも、風子の体に触ると、不治の病気に感染して死ぬらしい。
刃物を向けいざ飛び降りようとしたとき、その刃物にわざと刺さりにいく者が。

男は風子に触れ、不治の病にかかることを期待するが、その瞬間橋から落ち電車に轢かれてしまう。

が、なんと生きている。体はバラバラ。しかし宙に浮いたまま、体は再生し元通りに。その男は「不死」だった。

話を聞くと、風子は「不運」の持ち主で、自分の体に触れた者に不運が起こるという。
不死の男は死ねないことに嫌気がさしており死ぬ方法を長年探していた。
「不運」の大きさは触れた面積や時間に寄って違うことがわかり、大きな不運であれば自分を殺すことが出来るのではと考えた男は、風子と行動を共にすることにした。

風子や、不死の男アンディ等能力を持つ者は「否定者」と呼ばれ、危険人物として否定者を追う組織「ユニオン」に狙われてしまう。

否定者を追うユニオンは10人の否定者で構成されているが、否定者であれば試験に受かれば誰でも入れる。そのため、追われる立場を回避するため二人はユニオンに入ることを決意。

追っ手と戦い、組織に無事入れるのか。アンディは望む死を手に入れることが出来るのか。

【感想】

ジャンプの新連載にして異色作。
絵はジャンプ読者にしては癖がありそうですが、最近のジャンプは何でもありに見えるのでこの作品も受け入れられていると思います。

不死と不運のバディ物。何をされても死なない、という設定自体はよくありますが、それを逆手に攻撃に転じたり罠を仕掛けたりとトンデモな戦い方を繰り広げ、かなり新鮮。

痛覚はあるはず、とのことですが、お構いなしに自分で首を切り落としたり、体を鞘替わりに刀をしまったり何ともめちゃくちゃ。
だからこそ、やってることは痛々しいのに全然そう見せないのが、少年ジャンプ連載が出来る所以で、面白さにも直結していると思います。

また、アンディの戦い方はトリッキーさがメイン。頭が良くその場その場で最適解を見つけだし戦闘に勝とうとしますが、とどめはだいたい風子のほう。
不運の大きさは調整が可能だということがわかり、最大パワーがでかすぎて規格外。
まさに一撃必殺。
なので、アンディは不運をいかに活かすか、という思考で戦闘に臨むので二人いなければ成立しない立派なバディもの。

男と女ですが、アンディは長生きとデリカシーのない性格もあっていろんな意味で達観している、
対する風子はピュアな若い女の子でアンディには振り回されっぱなし、という変に恋愛が始まる雰囲気もなし。

組織も登場し、否定者vs否定者という能力者物になり頭を使って攻略していくことになります。
敵の能力は少し複雑ですが、能力バトルものがありふれている中ではこれくらいやらないと面白味もないのかな、といった印象。ただ、わかり辛すぎると読みにくいのでそのバランスは難しいところですね。

ちなみやバトル途中で1巻が終わりますが、この終わり方はなかなかキリが…2巻を読ませようという意図が激しい。
それでも、2巻を読む価値はあるかなと思います。

主人公を死なせる物語というかなり滅茶苦茶な内容ですが、ジャンプなので能力者バトルがメインでしょう。
それでもただのバトルものではなくなっているのでまだまだ読ませてくれそうです。