作りたい女と食べたい女 / ゆざきさかおみ 1巻 感想

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料理が好きな会社員の野本さん。SNSに自分の料理を上げているが、本当は自分が食べきれないような沢山の料理を作りたいという欲求を抱えていた。

ある日お隣の春日さんと知り合う。体の大きな春日さんが大食いだということを知った野本さんは、ある日勢いで作りすぎてしまった料理を持ち込んだ。

大量の料理をものすごい勢いで食べ、間食する春日さん。

沢山作りたい野本さんと、沢山食べたい野本さんの料理を通した交流が始まる。

【感想】

タイトル通りのお話です。料理を沢山作りたいけど食べきれない主人公と、料理はしないが沢山食べたいお隣さん。

お互いの欲求を満たしてくれる存在に出会うことで付き合いが始まっていきます。

主人公の野本さんは料理をすること自体が好きで、趣味でありストレス発散の方法でもあるので春日さんの方も遠慮することもなく。

それでも春日さんが人として良い人なのでしっかりお金は払ってくれたり、色々気を遣ってくれてこの関係性は良いですね。

感情表現が豊かな野本さんと、無愛想な春日さんのアンバランス感が良い。春日さんの体格が特徴的で好きです。
二人が仲良くしているだけで見てられるほのぼのとした雰囲気が今作の特長かなあと思います。

ただまあ、基本は作っては食べの繰り返しではあります。時折、女性への偏見に対抗するようなシーンもありますが、この辺りは最近よく見る女性の共感を狙ったところですね。これはあまり表に出すと逆効果になる諸刃の剣というやつ。

ただ百合っぽい話の割に女性読者ターゲットなのか、と思ったので、エンタメとしての百合というよりは、リアルチックなレズビアンものとしての立ち位置のように感じました。それはそれで一定の需要がありそう。

ご飯ものは今となっては飽和状態ですが、タイトル通りのシンプルさと、女性向けに作られた百合、キャラの欲望が満たされていく幸福感が他作品とは差別化されていて良いですね。