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地下へ落とされたキーフリー、テティア、ココ。魔法使いへの恨みを持つ、金細工に変えられたロモノーンの人達が襲いかかる。
手負いのキーフリーは苦戦するが、そこへテティアとココが前に出る。魔法使いに苦しめられた金細工の彼女らだが、純粋に近付く魔法使い見習いのテティア達に問う。
魔法使いに奪われ、金細工の彼女らが得られないもの。その問いにココは「安らぎ」と答える。
眠りにつけなかった彼女らにオルギールの温かな魔法器を与え、安らぎを得た彼女らは永遠の眠りについた。
少し落ち着いたキーフリー達の元へ現れたのはつばあり帽。キーフリーは最大限の魔法を使いつばあり帽に攻撃を仕掛け、本体を引きずり出す。その本体は、禁止魔法の失敗で獣と融合してしまった男だった。
彼らの目的は、ココに禁止魔法を使わせること。正しい目的で使用することで、禁止魔法の正当性を証明し、奪われた魔法の可能性を解放させること。ユイニィを鱗狼へ変えたのも、ココに禁止魔法を使わせるためだった。
企みを知ったココ達は、禁止魔法を使わずにユイニィを助ける可能性を見いだす。それは、魔法の効果と逆の魔法を使うことで魔法を打ち消す、という方法。
アガット、テティア、ココは協力しあい反転魔法を試みるが、上手くいかない。そこへ、ココの前に目玉の仮面の男が現れる。
ココを唆す目玉の男だが、魔法の効いていたユイニィが助け出す。反転魔法は、ユイニィの一部を取り戻せていた。
目玉の男は感心するも、その独創性が生かせない現代の掟を嘆く。何でも出来た過去の魔法。目玉の男はお手本の魔法を披露、ユイニィを元の姿へ戻した。
すぐに魔法を外す目玉の男だが、その魔法陣を奪うココ。これでユイニィは元の姿に戻っていられる。
ココは、自分が描く魔法は自分で決めると宣言。時間がないと告げる目玉の男は、その場を去ろうとする。
リチェが連れてきたオルギールも到着し、目玉の男は獣の男を連れ逃げた。
禁止魔法を描かれたユイニィは魔法陣がなければ鱗狼の姿に戻ってしまう。講堂には帰らず、アライラと行動を共にすることにした。
ココ達も洞窟から出るが、そこへ待っていたのは魔警団の一人。試験の様子がおかしかったので見に来ていたという彼女に、ココ達は大講堂へ連行されることとなってしまった。
【感想】
子供たちの成長が大きく描かれた5巻。そして、つばあり帽達の目的も判明した、ストーリー的にも大きく進んだ巻となりました。
特に、リチェとユイニィの関係。
リチェは大人の強制に反抗して今の性格になってしまいましたが、肝心なときに役に立たない自分の魔法に嫌気が差し、どうすれば良かったのかと自問します。
アガットが優秀なのは言わずもがな、リチェもそれなりに優秀ですが、我が強すぎてキーフリーも手を焼いていました。この試験は図らずも、リチェが自分に気付いた重要なものとなりましたね。
加えて、ユイニィの存在。リチェと真逆で、教本に従うことで魔法使いとしての自我を保つユイニィにリチェは4巻で切れ散らかしていましたが、ユイニィを助ける過程で本当のユイニィを知ります。教本通り、それでも落ちこぼれなユイニィが、自分にも出来る魔法として「教本通り」を少しアレンジしている。それは立派な、ユイニィの魔法でした。
リチェとユイニィが、それぞれの奮発材料となって成長した、これからが楽しみなエピソードでした。
ただ、ユイニィは魔法をかけられてしまい普通の人間ではなくなってしまいました。鱗狼の姿でも自我がある分、ある意味使い勝手的には良さそうですが、魔警団から逃げなければいけない立場に。この後はアライラを新たな師として進むのでしょう。再会が楽しみ、と思っていたら早速魔警団に…。
また、キーフリーの謎は更に深まりましたね。つばあり帽とは大きな関係がある様子。「同じ眼を持つつばあり帽」というのがキーワード。目玉の男はまだまだ仕掛けてくるでしょうから、キーフリーはココを匿う以上自分の過去と対峙するきっかけは多いです。まあ、それを望んでいるようなので、ちょうどいいです。キーフリーの物語も注目。
魔警団側にも新キャラが登場し、ココ達、魔警団、つばあり帽の三者のぶつかり合いが一層白熱しそうです。
次巻は今回の騒動の説明をしに大講堂へ。隠し通せることとそうでないことがあり、どうするのでしょう。