スーパーの裏でヤニ吸うふたり / 地主 1巻 感想

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職場で上司に八つ当たりをされ、部下の教育も上手くいかず、日々ストレスを感じているサラリーマンの佐々木。彼が心の支えとしているのは、通っているスーパーのレジの山田さん。

山田さんの接客に癒され、日々の活力としていた。ある時、煙草を吸う場所を探しているとスーパーの裏から誰かに呼ばれる。

彼女は田山さんと言い、店でよく見かける佐々木に声をかけたのだった。

田山さんもスーパーの店員。若い女性にたじろぎつつも、話しやすく不思議な魅力のある彼女と居るのが心地良くなっていく。

【感想】

煙草を共通点とした男女の物語。男女、といっても男の方は40越えのおじさんサラリーマンで女の方は20そこそこのチャラめな女子。

煙草が目的だった佐々木も徐々に田山さんと話すのが楽しくなり、いつしか田山さんが居るかどうかも気になりだしてきます。

佐々木さんの癒しであるレジ打ちの山田さん。裏で煙草を吸いながらのんびり話す田山さん。実は同一人物で、山田さんは接客と素との切り替えが滅茶滅茶上手く、見た目も変えているため佐々木は全く気付かず。
気付かないまま、山田さんには「鈍い」と思われながらスーパーの裏でやり取りを続けていく、ちょっとしたすれ違い的な設定。

佐々木は真面目で、しっかり者のようでちょっと抜けているという、人からは好かれそうなおじさん。そんな佐々木をいじるのが楽しい山田さん。と言いつつ佐々木の純粋な部分や人の良さに山田さんも惹かれている雰囲気はあり。

恋愛に発展するかは微妙な距離感ですが、その距離感が絶妙で、進むのか進まないのか、よく分からないのが逆に良い。年の差設定が良い感じに効いています。

煙草がコミュニケーションツールになっているというのも良いですね。僕は吸いませんが、煙草があるからこそ生まれる話や関係というのは確かにあるとは思っていて、この作品は良い例です。現実と置き換えるのは野暮ですが、ここまでじゃなくても有り得る話だと思います。

終始、佐々木のストレスがスーパーで解消されていく話ではあるのですが、そんな単純な構図でも、山田さん・田山さんの嘘や、それに乗っかった佐々木いじりが面白く、佐々木が本当に良い人なので和やかな気持ちになります。

雰囲気は抜群。恋愛的にもどうなるかわからないふわふわした感じが良い。そして最後にあった山田さんの過去エピソードを読むと、一気に感情移入度が高まります。素晴らしい。おすすめです。