紫電改343 / 須本壮一 1巻 感想

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昭和19年、菅野直率いる隊はフィリピン上空で対米軍との戦いを続けていた。

ある日、上層部から特攻の話が菅野に舞い込む。隊員の杉田と笠井は必死に止めるが、死に場所を決めかねていた菅野は、その誇りある任務に人生を賭けることを決意していた。

しばらくして菅野の前に現れたのは、軍令部のエリート、源田実。源田は、菅野の実力を買い、前線ではなく本土の防衛部隊についてくれないかと交渉をしに訪れた。

プライドが許さない菅野は、源田の申し入れを拒否。そして、刻一刻とその時は近付いていた。

【感想】

太平洋戦争末期の、海軍航空隊を描いた作品。菅野直を主人公として、話が進みます。

菅野直と言えばドリフターズの印象が強いのですが、ここでもそこ強気な性格は変わらず。デストロイヤーとまで呼ばれた程の荒さは健在です。

 

紫電改343 1巻 1話

戦争において、前線でお国のために身を挺して戦う姿が誇りと謳われていた時代ですから、菅野という男はまさにその時代を体現したような人間で、生き様でした。
そこへ現れた源田実という男。彼の「戦争を数字で見る」という考え方、当時のことは全く詳しくありませんが、こういった考え方が出来なければきっと、戦い事に勝利はないと個人的にも思っています。
結果的に菅野は源田につくことになりますが、この作品ではそんな菅野の生き様がしっかりと描かれています。

ストーリー自体はある意味決まったものなので大事なのは見せ方で、絵は少し荒いですが戦闘機で飛び回る描写や特攻の描写などは迫力があり読み応えがあります。

菅野の心が動かされるシーン等は読者としても気持ちが入り、源田について行く流れにも納得ができる作りになっていました。

 

紫電改343 1巻 4話

しかし…特攻という作戦はあまりに無茶な作戦だなとつくづく思いましたね。源田の言う「菅野が生きていることで上げられる成果」を、日本の上の方はわからずにヤケになっているわけですから。まあ、成果を上げられないやつは特攻、ってのもどうかと思いますが…そもそも戦争自体がおかしい話なので。

この作品、このテンポなら菅野の死がゴールであればそんなにかからないような気もしますし、脚色はないように思えるので、一つの史実として、一人の男の生き様として最後まで見届ける価値はあるかなと思います。詳しくないので、知識的な面でも一読はありかもしれません。

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