SANDA / 板垣巴留 1巻 感想

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少し未来、日本から四季がなくなり、人口は減少し超少子高齢化の時代、若者が宝物とされ、特別な教育を施すとある全寮制学校での物語。

その学校で一人の少女が行方不明になっていた。半年が経ち、誰もが亡くなったと思っているが、仲の良かった冬村四織だけはその死亡扱いに対して疑問を抱いていた。

冬村がクラスメイトの三田一重を脅すところから物語は始まる。

三田には本人も知らない隠された秘密があり、その秘密こそ、行方不明の少女を探すための力になると冬村は信じていた。

その秘密とは、三田がサンタクロースの末裔であるということ。子供のために力を発揮するサンタクロースの呪いを持つ三田に期待し、冬村は少女の行方を追う。

■感想

行方不明の少女を探す物語。と言うと少しドラマチックですが、展開はかなりドタバタです。
その少女、小野さんの友達の冬村はサンタクロースの末裔である三田にサンタの力を引き出すためかなりの無茶を行います。包丁で刺したり、生徒を人質に取り爆弾を仕掛けたり、もう滅茶滅茶ですが、全ては小野さんの真相のため。

その行きすぎっぷりに三田は引きつつも、サンタクロースの呪いの力は無事?引き出され、おっさんの姿になります。

おっさんの姿の時、色々なサンタ特有の能力のようなものが発揮され、その能力を元に小野さんを探していくという流れ。

…と思いましたが、物語の本筋は別にあるようで、この学校そのものが実は大人による支配により成り立っているという事実が発覚し、それに抗う物語も平行して進んでいきます。

「大人」と「子供」の対比が根本的にあって、そこに、子供側に「子供を守ることを第一とする大人(中身は子供ですが)」が加わっているという構図は中々面白いです。それがサンタクロースっていうのも中々パンチが効いてる。

そもそも三田自体、サンタクロースの末裔として何が出来るのかということは全く理解していない状況なんですが、一応自分の役割みたいなものは自覚していて、協力はしようとします。

それでも三田のキャラはちょっとお調子者でふざけた感じで、引っ張っていくのは冬村。引っ張るというよりは強制執行みたいな感じですが…。

この冬村の押しの強さと、ふらふらしながら一応動く三田との掛け合いは面白い。とにかく冬村は小野さん第一なので、小野さんのためなら何も厭わないという一直線さが凄いというか、ちょっと異常なほどなんですが…笑

三田も若干引いていますが、サンタとしてすべきこと、三田としての学校生活、この二つをこなしながら、学校の闇に向かっていく。

展開を動かすのは冬村ですが、主人公は三田だと思います。話の勢いが普通じゃないので最初は面食らいそうですが、慣れれば癖になる面白さ。次巻も気になります。

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