夫を噛む / 水瀬マユ 1巻 感想

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夫の転身を機に地方へ引っ越してきた藤花。見知らぬ土地で孤独に悩みながらも、夫は仕事が忙しく構ってもらえない毎日。

そんなある日、多肉植物を扱う園芸店で働くムラタに出会い、植物を譲り受ける。気に入った藤花は夫と共有したかったが、またも冷たくあしらわれる。
夫は仕事と言いながら他の女と不倫をしていた。行き場のない気持ちを胸に、藤花はそのままムラタの元へ。そして、その気持ちはムラタへと向けられる。

【感想】

セックスレスに悩む女性が主人公のオムニバス。
1巻では4名の女性が立ち替わり主人公となり、4つのエピソードを収録。各話に別話の主人公も登場しつつ、最終話では4人が出会い次巻へ繋げていく、ストーリー仕立てのオムニバスのお手本のような作品。水瀬マユさんは「むすんでひらいて」もそうですが、こういう組み立てが上手ですねえ。

各主人公それぞれレスの形態は違い、帯にもあるとおり、

藤花→冷え切った関係の夫が浮気をしていることを知ってしまった「モラハラレス」

和子→同い年で行為はあるが、暴力的で上から目線の夫に悩む「心のレス」

結月→夫とは趣味も性格も合い仲は申し分ないが、夜の生活だけは拒否されてしまう「仲良しレス」

レイ→15歳年上の夫。仲は悪くなく暮らしも裕福だが、行為は4年なく、風俗には通う夫との「年の差レス」

というそれぞれ違った角度から始まる物語。
女性目線で進む話で、「したい」妻に「したくない」夫がどう対応するか、妻がどう動くか、いう話。
ここで出る夫はクズもいれば仕方ないタイプもいて、一概にどっちが悪いというわけではないので面白い。(そもそも良い悪いの話はレス以前の問題)
結月の話にいたっては夫も「したくない」わけではなく、ちょっとイレギュラーな終わり方でほっこりしました。まあ結局上手くいかなかったっぽいですが、この夫婦だけは応援したい。笑

各家庭いろいろな事情で陥る問題ですが、様々なシチュエーションや人がいる中でその解決方法も千差万別。その多種多様なやりとりを1作品で見られるお得感はあります。
また、男性読者を意識したような行為のシーンもあり、絵が上手なのでこの点も十分需要ありそう。元々男性読者受けの良い女性キャラを描くのが上手な作者さんですので、この辺りは期待に沿えると思います。(エロ漫画ではないので過度な期待は禁物ですが)

各エピソードが短いのでドラマ性は少し薄いのですが、1巻で4人の主人公ということを考えると十分。次巻以降はもっと動かしてくれそうなので期待です。

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