【推しの子】 / 原作:赤坂アカ、作画:横槍メンゴ 2巻 感想 【ネタバレあり】

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母親を殺されたアクアとルビー。時が経ち二人は中学三年。ルビーは母親であるアイのようなアイドルになるため、オーディションを受けていた。

今回のオーディションは自信がある、期待を膨らませるルビーだが、かかってきた電話は不合格通知。

泣いて悔しがるルビーだが、実はその電話はアクアが仕掛けたもの。アイの二の舞にはさせまいと、アクアはルビーをアイドルにはさせないよう工作を行っていた。

アクアはルビーのアイドルの夢を阻止しつつ、子供の頃に関わりのあった映画監督の下で、映画製作の手伝いをしていた。
裏方として芸能界に残り、アイを殺した犯人に情報提供をしたと思われる、実の父親に復讐をするため。

それぞれ、目指すところは違う二人。高校受験を控え、二人が受けるのは芸能科のある陽東高校。ここで、子役時代に面識のあった有馬かなと再会する。

子役時代、アクアの演技力に衝撃を受けていたかなは、かなが出演していて現在撮影中の鏑木勝也監督の作品に出てみないかとアクアに提案をする。

鏑木勝也がアイの死に繋がる人物だと知っていたアクアは出演を了承。しかし、その作品は売り手のエゴが集約された見るに耐えない作品だった。

ダメな企画に演技の出来ない役者。しかし脚本や演出など裏方は優秀。その中で最低限の役割をこなすアクア。かなは、久しぶりの主役級の役で良い作品を作り上げようと精一杯頑張っている。
しかし、監督たちの思惑は正反対。この作品は役者の宣伝でしかなく、出来映えには何ら感心などなかった。
その思惑を知ったアクアは、作品の最終話、重要シーン撮影の際、アドリブを混ぜた絶妙な演技を魅せ、かなの素晴らしい演技も引き出す。

最終話の評判のみ上々で鏑木監督からも賞賛されたアクア。鏑木と話をすると、どうやら鏑木は過去のアイの交友関係を知っているらしい。情報を得たいアクアだが、鏑木から交換条件を求められる。それは、恋愛リアリティーショーへの出演だった。

無事、陽東高校へ入学したアクアとルビー。周りが芸能人ばかりの学校で、何の実績もないルビーは焦り自身のアイドルグループのメンバーを急遽集めることに。そこで候補に挙がったのは、有馬かなだった。

早速かなを呼び出し勧誘するルビー。アクアの説得もありプロダクションに加入したかなは、天才子役からアイドルへ…。

そして、鏑木との条件であった、アクア出演の恋愛リアリティーショーが始まる。

【感想】

1巻で衝撃の展開を見せた、【推しの子】の第2巻。

1巻は丸ごとプロローグで、2巻から本編がスタート。この巻では大きくなったアクアとルビーが、芸能界でそれぞれの目的を果たすべく奮闘します。

ルビーは純粋にアイドルになるため。こちらは有馬かなを加えグループを作るところから。どういったグループでどう売り出していきたいのか、何も説明がないのでピンときませんが、アイが圧倒的なカリスマ性を持っていたということでルビーもその資質がある様子。

スタート地点にもまだ立てていないような状況ですが、アイから引き継いだ才能と努力でこれからを期待させます。

【推しの子】 2巻 11話

一方アクアは、アイの死の真相を探り、元凶への復讐を目的とします。
また、アイがストーカーに殺されたというところから、ルビーが同じ結末を辿らないよう守る役割も担います。これがいきすぎたシスコンってことにされてるのが面白い。

 

推しの子 2巻 13話

ルビーやかなが出ると画面が明るくなり、コメディチックなやりとりも多いです。逆にアクアのシーンは全体的に暗く重い雰囲気。
全体的にはコメディ半分真面目さ半分といった感じ。アクアがお世話になってる、1巻では重めな雰囲気だった映画監督が実は実家に寄生していてお母さんがうるさい、など中々パンチの効いたネタもあってギャグ路線も長けている印象です。
確かに、「かぐや様は告らせたい」はギャグがメインでしたので元々こういう傾向の作者さんなんでしょうね。

しかしシリアスとのメリハリは付いています。メンゴ先生の絵には独特の暗さや不気味さがあるので、良い味を出していますね。

アクアとルビーが全く違う生き方をしていて、描かれる視点もそれぞれ。ダブル主人公の体で進むので、二人のストーリーが同時に平行して進んでいく過程が面白いです。

純粋にアイドルを目指すルビー側の成長物語。悪意を持って復讐を目論むアクア側のサスペンス。コメディとシリアスを行き来して、闇鍋になりそうなところをぐっとこらえて少しずつ進む構成。巻の終わりは変に引きを作らず、キリのいいところで章立て。
おそらく最終話までのプロットがしっかり出来ているのだと思います。既に素晴らしい完成度ですが、謎が解けていくにつれ、これからもっと面白くなるでしょうね。3巻も期待です。

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