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太古の時代より世界を支配し、混沌の神と呼ばれていたマグ=メヌエク。600年前、ある教団に召喚されるも敵対する聖騎士団の手により封印されてしまっていた。
現代、浜辺に流れ着いていたマグ=メヌエクが封印されている宝石を一人の女子中学生、流々(るる)が拾う。
流々は誤って宝石を壊してしまい、封印は解かれマグ=メヌエクは現代に蘇った。
しかし封印の影響か、マグにかつての面影はなく、力も衰えていた。
衰弱するマグに同情した流々は家に連れ帰る。
大口を叩きながらも失敗ばかりのマグに呆れながらも、一人暮らしの流々にとっては話し相手がいることが少し嬉しく、愛着もわきつつあった。
対してマグは混沌の神として無礼な流々を従えようと画策している。
力を失った破壊神と一人の少女の奇妙な共同生活が始まった。
【感想】
奇妙な生物と暮らすホームコメディ。流々からは「マグちゃん」の愛称で呼ばれるかつての破壊神。この作品を楽しむための9割は、マグちゃんのキャラクター性にありますね。
本当は危険で恐ろしい神であるはずが現代では口だけ生物になり果て、自信満々な態度や不遜な言葉遣いのまま、ちょっと間抜けで滑稽な言動を繰り返します。
この、言葉と行動のギャップこそマグちゃんの愛らしさで、かわいさです。
掃除機を使えば自分が吸われ、洗濯物を取り込めば強風で飛ばされ…それでも全く折れないどころか服従させる意欲が更に盛り上がる良い性格。
マグちゃんはあくまで自分を誇示することだけを信条としていますが、身をなげうって自分を誇示した結果がむしろ周りをハッピーにさせるという高等テクニックを随時披露してくれます。すごいぞ、マグちゃん。
そんなマグちゃんと同居する流々。一人で暮らす流々にとって、マグちゃんは心の隙間を埋める存在になりつつあるという、少しハートウォームな展開も有り。
流々の幼なじみの男の子、錬も良いキャラですね。流々に片思いしていますが、中々うまくいかない不憫な子。マグちゃんと良いコンビで、錬はツッコみが絶えません。
マグちゃんの同類も出てきてこちらもまた間抜け。ビッグマウスでとんちんかんなことばかりの掛け合いはカオスで面白い。
そもそもキャラデザがいいですね、二匹とも。宇宙人のような軟体生物のような不思議な見た目。マグちゃんは一つ目ですが不気味さはなく、むしろその目が純粋さを訴えかけてくれているような。眉毛がないのがいいのかも。口もないので表情が読めなくて、その無表情感がギャップを増幅させてくれています。かわいさも倍増。
マグちゃんの力は衰えていると言ってもかつての神、一歩間違えば大事故になりそうなシーンは多々ありますが、それはセリフの妙で避けているのも上手い。マグちゃんというキャラを上手に操っているなあ。
一話完結型で、ドタバタはしながらもどこかのほほんとした雰囲気。飛び抜けたパンチ力はなくともマスコットキャラの力でここまで読ませるのは、良作だと思います。かわいらしいコメディが好きな方にはおすすめ。