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鯨井の家に行った工藤の記憶。それぞれ、別の鯨井と訪れる「鯨井の家」の記憶に、今はいない鯨井を思い馳せる工藤だった。
茶店で働いていたグエンという男を捜す謎の仮面の男。同時に、工藤もグエンの居場所を捜していた。
仮面の男は蛇沼と会っていた。鯨井に対し何か思惑のある二人。そしてその仮面の下の素顔は、グエンと瓜二つだった。
鯨井と出会う仮面の男。素顔を晒し、鯨井に茶店のボーイだと気付かれた。そこで鯨井は、仮面の男に自分のことを知っているかと尋ねるが、「鯨井令子」はよく知っているがアンタのことは知らない、と突っぱねられてしまう。
自分が何者なのか分からない鯨井。ついに、その胸の内を工藤に伝える。自分で選んできたこと、自分の好きなこと、そして、工藤への思い。そして、気持ちをぶつけ続けた鯨井は、その場に倒れてしまう。
蛇沼とグエン。
ただならぬ関係の二人。蛇沼は正式な蛇沼家の跡取りではなく、父親と愛人に出来た子で、本当の息子は幼い頃に事故死していたという。それでも、父親から事業を引継ぎ、社長としては信頼されていた。
工藤の前で倒れてしまった鯨井。自分の存在や自分が知らない鯨井という存在について、工藤は話そうとしたが、鯨井は断った。それを聞いてしまったら、自分という存在が本当に消えてしまいそうだったから。
「絶対」の自分になりたい。不安が押し寄せる中、自分は自分だと自信を持ちたい。そう強く願うのだった。
【感想】
SFチックな面が強く浮き出てきた3巻。明らかに自分とは別の人物がピックアップされ、これはたぶん「九龍」と「クローン」をかけているのでしょうね…。「ジェネリック」医薬品も後から出た薬ってことですし。
グエン、というキャラがここに来て大きく登場。蛇沼との会話から、鯨井を調べている様子でしたが、正直まだよくわかりませんね…。そして蛇沼の存在もクローンではないか、という謎をぶち込み更にわからなくなってきました。
蛇沼が、「もし鉢合わせしたらどうなるかわからない」と言っていたので、クローンと本物が同時に存在することはあるようですが、鯨井の本物は果たして生きて存在しているのか。工藤は経緯を知っているっぽいので、謎ではあるのですがあとは鯨井の気持ち次第といったところです。
その鯨井の気持ちが本作の大きなポイントで、主人公たる所以。アイデンティティを揺るがす大きな問題に気付きつつある鯨井が、今後この「クローン問題」にどう直面していくのか、そして、工藤との恋の行方は…。
序盤では得体の知れない雰囲気がありましたが、少しずつ実体が分かってきて面白い。小出しの仕方が少し分かりづらいのですが、次巻ではもっと進展してくれることを期待します。
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