着たい服がある / 常喜寝太郎 1巻 感想

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スタイルが良く、格好いい服が似合う女子大生のマミ。そのルックスは周りからも羨ましがられる存在だったが、マミ本人は、実はかわいい服が好きだった。

昔買ったロリータ服を着て街に出ることを夢に見つつも、周りを気にして普段着でスカートを履くことすら躊躇してしまうほど。

ある日、マミのバイト先にヘルプで来た男、小澤。ルックスは抜群で雰囲気も持っていた彼は周りからも一目置かれるが、彼の私服はあまりに奇抜だった。

「自分の着たい服を着るのが一番」という小澤の堂々とした姿にマミは心を撃たれ、自分も自分の着たい服を着られるよう、少しずつ踏み出していく。

【感想】

自分のしたいことと周りから求められるもののギャップを描いた作品。思春期を越えたところの女の子が自分探しをする物語です。

その題材がロリータ服。現実でもたまに見かけますが、確かに目立ちますし目を引くのは確か。
作中ではその服がさも迷惑と言わんばかりの扱われようで、似合う似合わない以前の話をしているのが少し気にはなるのですが、確かに街に繰り出すのに勇気のいるものなのは確か。

堂々としていればいいという小澤の格好はロリータ服を遙かにしのぐ滅茶苦茶なファッションに見えますが、中身も変人なのでどうにかなっていますね…。自分の信念を曲げないというのは格好いいものですが、周りを気にしてしまうマミも十分人間らしくてかわいいと思います。

マミは教師になるのが夢で、小学校に教育実習に向かう話がありますが、ここではクラスで浮いている男の子が登場。多様性よりも協調性、と言う風に指導する先輩教師に違和感を感じながら対応するマミが印象的。
先輩教師は、こうあるべきという価値観を押しつけているだけで生徒一人一人に向き合っていないというところが露骨で、正直見ていて気分があまり良くないものでしたが、その小学生と自分を重ねて真剣に寄り添おうとするマミは素晴らしい。最後にしっかり救われるシーンもあって良かった。

一見は服マンガのようですが、服じゃなくても成り立つよねというくらいの、自分成長漫画。マイノリティな彼女が自分の夢を叶えるための物語です。
どうにかしたいというマミの行動力は素晴らしいと思いますし、どうしても上手くいかないところに応援もしたくなる。悩んでいるけどうじうじしているわけではなく、少しずつ前に進んでいる感じがとても良い。

こういうのはマイノリティ同士で集まるのが一番だと思っていますが、実際イベントに参加するようにもなり、兆しも見えます。
最初、小澤さんと良い感じになる展開とかあるのかとも思いましたが、全くなくて安心。まだ恋愛云々の描写はいらないです。ロリータ服に恋をしているようなものですから、自分の今一番好きなことに真っ直ぐに向かっていって欲しい。マミが納得するところまでいって欲しいですね。

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