ジュピタリア / 梶山昊頌 1巻 感想

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2150年、人類の活動領域が宇宙にまで拡大した時代。木星の豊富な資源を求め、木星周囲に生活圏を持つ人々がいた。

主人公の男の子、リコ。彼はジュピタリアンと呼ばれ、木星圏の無重力下で産まれた数少ない人間。周りの人間と同様の1Gの重力での暮らしは彼にとって困難極まる生活だった。

ジュピタリアンは研究者によって生活を管理され、いつかの木星移住のためのデータ集めに使われている。

学校ではいじめられ、親は過去に事故に遭い死亡、研究所では被検体扱い。毎日が楽しくない、ひとりぼっちのリコだが、ある日デブリ回収屋のレイジと出会う。

レイジに連れられて出た宇宙、レイジの回収屋の仕事を手伝うにつれ、自分の居場所を宇宙に見出すリコ。これまでふさぎ込みがちだったリコが、新たな一歩を踏み出す。

【感想】

宇宙を舞台にした少年の成長物語。設定も1巻時点でそれなりに小出しにされていて、SFチックな面もあり。

ジュピタリアンと呼ばれる人たち。通常の重力での生活は体が保たないそうで、ある種差別的な扱いを受けています。
そんなジュピタリアンの少年が、回収屋の青年、レイジと出会い物語が動き出します。

実は、ジュピタリアンは耳が良く、無重力下では動きも良い。普通の人間では出来ない能力を持っていて、それに気付くことが出来ます。
レイジの回収屋を手伝い始めてからは心底楽しそうで、生き生きとした様子が描かれます。

そんな少年、リコには親の死と出自について少しの謎が。その謎についてヒントを見つけたレイジ。また、非公式のジュピタリアンが幼い体で強制労働させられている事実を知り、合わせて行動を始めます。そして、リコも引かれるように続きます。
後半、その謎に挑むところで終わるのは引きとしては良く、明らかに普通ではない危険な場所へ踏み出すというスリル感もあり繋ぎとして上々でした。

回収屋のレイジはリコを先導するいいキャラクター。回収屋が海賊紛いの野蛮な輩だと思われている時代で、民間からの依頼をまっとうにこなすレイジ。情に厚く、楽観そうでいて意外と冷静という、出来るキャラです。
レイジが前にいてくれれば、リコの自分の居場所探しには心強い。

設定やキャラクターは期待度が高く、続きも気になります。ただ、全体的にセリフ回しが少し単調な印象。見せ場はあるものの、少ししっくり来ないところもあり。絵が少し固いのもあるかもしれません。一枚絵の表情などはとても良いです。

また、リコが回収屋を手伝うというのも素人目で見ると不安で仕方がないのですが、これは気にしすぎかな…?
諸々、作り込まれた設定に話の展開が追いついてないような。

ただ、続けば面白くなる要素はあると思うので、設定を崩さず丁寧に描ききってもらいたいですね。

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