仄見える少年 / 原作:後藤冬吾、漫画:松浦健人 1巻 感想

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人助けが好きな少女、哀別理久。彼女は、危険を察知するという不思議な能力を持っていた。
ある日突然、クラスメイトの片儺木伊織に呼び出される。周りから霊感少年と呼ばれる伊織から、霊が取り憑いていると言われてしまう理久。

伊織は自分から人に関わろうとはしない性格だが、逆らえない姉の命令で仕方なく、理久を呼び出していた。その取り付いた霊に危険を感じた伊織の姉は、伊織に理久を救うよう命令する。

帰りの電車内、理久と伊織の周りに異変が。ふと車内が暗くなり、電車の外には無数の霊が現れていた。その余りに多い霊の数に伊織は感づく。理久は、霊を呼び寄せる体質の持ち主だった。

人助けをするのが好きだった理久だが、自らが周りを危険に晒していたことを知り絶望し、霊に体を預けてしまう。そこで、伊織は自分の能力を解く。

伊織は、霊を祓う霊媒師。強力な鬼を使役する伊織は、その鬼を使い霊を退治。無事に理久を助け出すことに成功する。

極力人と関わりたくない伊織。霊媒師であることにも否定的な伊織だが、霊を呼び寄せる理久のような人間は「招き手」と呼ばれ、霊媒師が守る決まりだった。そして、逆らえない姉の命令により、嫌々ながらも理久を守ることになってしまう。

【感想】

霊を呼ぶ少女と霊媒師の少年のホラーアクション。導入は不気味さもいい具合で、霊を倒す伊織のシーンは、強力な化け物を使役するという中二的なアクションで格好良く決まっています。
1話の掴みは割と良くて、「自分の能力と自分がやりたいことは必ずしも一致しない」というテーマで上手く物語が運ばれていて、面白かったです。

読み切りならそれなりの完成度だと思いますが、連載ですので問題はここからで、事実2話以降がぱっとしない印象。特段まずいところがあるわけでもなく、むしろ2話も3話もちゃんと意味を持って置かれた話だと理解は出来つつも、ベタっぽさを感じるのは何故だろう。

それでも霊を呼ぶ女の子という設定をしっかり使って話は転びますし、伊織の過去の秘密や探し人がいるという伏線もあり、この先は期待感が持てます。
また伊織のやる気のない性格とやるときはやるギャップも見応えがありますね。普段があまりに適当なので主人公としてそれはどうなのと思いつつも。笑
でもそれが理久の性格と対照的であったり姉の尻に敷かれたりと、良い具合にコメディ要素に繋がっていて面白いと思います。

テイストはホラーですが、そこまでドキドキする展開はなく。でも漫画ならではのホラー要素の見せ方は上手く、怖くはないのですが(すみません)、おおっ、と思うシーンはいくつかありました。わかっていても唸れるというのは素晴らしいところ。

あと、「愛別離苦」をもじったヒロインの名前、哀別理久。これ良い名前だなと思います。伊織が連呼するせいでしょうが、哀別というまあ居ないであろう名字が妙にしっくりくる。言いづらいですけど。でも愛別離苦って言葉の意味がそもそも虚しいので、印象としてはネガティブになりそうで紙一重。まあ、このヒロインが悲しくも少し儚げな子なので合ってると言えば合ってるか。

全体的に綺麗にまとまっている佳作という感じですが、飛び抜けた印象がないのも事実。競争の激しいジャンプではこういった作品は振り落とされがちですが、どうでしょう…。