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高校生の守崎夜畔(ヨハン)は毎日の時間を有効に使うことだけを考える。部活動なんてもってのほか、友情、努力、勝利、それが何になるんだとこぼす。
昔は野球をやっていて、父親もよく褒めてくれていたが、その父親は今はいない。
ある日、駅のホームでキーホルダーを拾い渡したことをきっかけに薙居尾郎(ビロー)という男と出会う。
尾郎は同じ学校で野球愛好会に所属し、部員はまだ2名。駅のホームでキーホルダーの持ち主を捜し当てた観察眼を見込んで、ヨハンに野球部に入って欲しいと頼み込んだ。
部活を無駄な時間だと切り捨てるヨハンに、ビローは一打席勝負を提案する。相手は、過去ヨハンが対戦したことがあり、野球を辞めるきっかけを作った相手だった。
その相手、ビビアンとビローは二人で野球愛好会のメンバー集めをしていた。
ビビアンの変化球に手も足も出ず三振を喫すヨハンだが、ビローだけがヨハンの才能に気付く…。
ビローに父親の影を重ねるヨハン。一度は諦めた野球だが、もう一度踏み出してみることに決め、入部を決意する。
【感想】
一度挫折をした少年の再起。野球が舞台と言うことですが、いろいろとつっこみどころはあります。
ヨハンの観察眼という長所ですが、少しわかりにくいのと、現実感があまりにないですね…。ビローがヨハンの才能に気付く、三振の場面。ビビアンに対して説明をしますが少し無理があります…。
フィクションの能力者とかなら説明いらずですが、野球の才能ということでいうとかなり厳しい。
ビローがベッドの縁に立って、スイングでペットボトルの蓋を開けるシーンや、バッティングセンターでのホームラン、アナグラム解読など、魅せるシーンで本人の能力以上のものを見せられているようでギャップを感じざるを得ないです。
現状三人の部員で、甲子園に勝つ、というのもなかなか道のりが…これはまあ無理矢理どうにかなるかもしれませんが…。
ビローは野球に付き物の「チームプレイ」に嫌気がさし、個の力で勝ち上がると宣言しています。この点は斬新で、他にない物語を見せてくれそうな期待はあります。
そうなると特に重要なのはキャラですが、現段階では実力はある二人。主人公はこれからとして、あとはこれから来る部員がスーパー出来る選手である必要があります。
ただ、実力抜きにしたキャラの魅力としては個人的にはいまいちで…応援したくなるような、愛されるようなキャラがいませんでした。
野球はチームプレイが鉄則。この当たり前を塗り替えるという部分だけにこの作品の期待感はありますが、1巻の展開やキャラメイクはどうにも腑に落ちませんでした。
絵が固いのも要因かもしれません。野球は手足のしなやかさや指先の繊細さ等、画面でそのプレーが上手いか下手かを表現しないといけないので、その点においては、迫力はあるものの動きがかなり固め。一枚絵としては上手でも、せっかくの流れがストップしてしまうような印象。
総じて物語に入り込めなかったので、次巻は微妙なところです。