スキップとローファー / 高松美咲 6巻 感想 【ネタバレあり】

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バレンタインシーズン、友チョコの話題で盛り上がる女子たちと、ちらちら気になる男子たち。

そんな中、ミカに声をかけた男の子、小渕。チョコの牽制を掛けられ、意識してしまうミカ。

昔の気が強くて自己中心的なミカはどこへやら…という、乙女チックな感じがとても良い。

自意識過剰なのでは…?と戸惑いながら、自分自身を誤魔化すように友達との電話で茶化したように話していたら、そこに迎井が。

バツの悪いところを聞かれたミカ。迎井は小渕と繋がりがあり、友達をバカにされたと思いミカに突っかかってしまいます。

 

スキップとローファー 6巻

 

スキップとローファー 6巻

ミカは小渕をバカにしようとしたわけではなく、本意ではないからこそ、迎井の言い方にイライラしてしまいます。

自分がどんどん嫌な奴になっていく、その葛藤がミカを追い込みます。

このミカの気持ちの動きの描写は素晴らしく良いです。素直な自分に魅力はない、飾って繕ってどうにかやっていくしかない、というミカの思いはミカ自身を苦しめています。

「ときどきは私のことを女の子として「アリ」なんだなって人もいる うれしい ありがたい」

「でも見る目ないなって心のどっかで思う」

この1ページでミカのやりきれなさがズシンと来ますね。ベタで反転させる表現もとても良い。

 

スキップとローファー 6巻

それが分かるミカだからこそ、自身に好意を寄せるのは「その程度」の人間だと、自覚を持ってしまっています。賢い人は私を好きになってくれない、でも、ミカはそんな自分を分かってくれる賢い人が好き。だから志摩が好き。でもこんな自分を志摩が好きになってくれることはない。この葛藤は切ない。

これは一つの性格で、自信の無さをカバーしようとするミカの癖。簡単に変わるものではないし、それはミカもよくわかってます。

それでも、みつみと会ってみんなのグループに入って、昔より確実に「良い奴」になってるミカ。いつか分かってくれる誰かと出会ってほしい…。

そんなミカは志摩に告白することを決意。そのことを迎井に話します。

迎井は真剣なミカに驚きます。しおらしく自信の無さそうなミカをみて、迎井も色々と思い返し、自分の発言を顧みます。

 

スキップとローファー 6巻

 

スキップとローファー 6巻

こうやって、何か齟齬や思い違いが発生する出来事があってからキャラ自身がそれに気付く、という展開が僕はとてもカタルシスを感じるので、この迎井の反省シーンも良いなあと。

そしてミカは志摩へ告白。チョコを渡し、志摩は受け取る。しかし、返事は、ごめんなさい。

告白シーンはあっさり終わりますが、ミカの取り繕いが辛すぎ…そして志摩の優しさが眩しい。その後の、ミカの号泣と「私 恋とかしていいんだ」というセリフ。ここが6巻のハイライト。

 

スキップとローファー 6

 

スキップとローファー 6巻

一年生も終わりを迎え、学年末テストに向けてみんなで勉強。みんなで集まってこういうイベントってのは若々しくて良いなあ。

帰りの電車で迎井がミカに謝りますが、この二人がいい感じなのがとても嬉しい。笑

 

スキップとローファー 6巻

みつみの誕生日。友達とのやりとりはあっさりと終わり、話はナオへ。

抱えているコンプレックスを関係ないみつみに当ててしまうことに悩んでいるナオ。友人のゴロちゃんとの会話で、少し救われたのでした。

次は山田のお話。明るいムードメーカーで中々恋愛対象に見られない山田。しかし彼は結月のようなすらっとした綺麗な女子が好き。

結月を気にかけてはいるものの、そもそも恋愛できるなら誰でも、というミーハーな部分もあり、みつみにもその辺りで引かれてしまいますが…。

結月が運ぶ荷物を山田が全部運んであげるシーン。志摩が女子に囲まれているのを見て、山田はけしからんと思いますが、結月は志摩の誰にでも平等なところが接しやすいんだと言います。

 

スキップとローファー 6巻

これは結月がこれまで高嶺の花のような印象を持たれていたことからもよくわかります。山田は全く想像もしなかった考えだったようですが…。

男女の付き合いは別に恋愛だけではないですから、「好きアピール」を鬱陶しく思う人もいるわけで。

ただハイスペックで誰にでも優しい志摩は一層気を付けなければならないという、何とも悲しい性ではあります。山田には訪れないので理解はされないでしょうが…笑

その後、山田に持ってもらっていた荷物を半分返してもらう結月。

「ホントは自分で持てるものは自分で持ちたい派なんだ あたし ありがとね」

というセリフ。これもきっと山田に響いたことでしょうね。「相手を楽にさせてあげる」よりも「相手の負担を共有する」方が、相手にも気を遣わせないし一番良いと思います。

まあこれも性格によっては「全部もってもらうこと」に喜びを感じたり男らしさを感じる女子もいるでしょうし、山田は当然そうとしか思っていないかもしれませんが、少なくとも結月はそうではなく、僕はそんな結月のスタンスが良いなあと感じます。

 

スキップとローファー 6巻

 

スキップとローファー 6巻

人それぞれ考え方は違う、感じ方も違う、ということを1エピソードで分かりやすく描いた1話。山田をメインに置いたことがとても正解だったなと思う、秀逸な1話でした。

最後には山田がちょっと報われるようなシーンもあり、こういうのは本当に良いですね。作者さんの人柄がにじみ出ます。

一年が終わり、春休み。最後にみんなで歩き出す見開きのシーンはなんだか「あずまんが大王」の最終話のような寂しさが…。まだまだこれからなのにちょっとセンチな感じ。

 

スキップとローファー 6巻
あずまんが大王 4巻

次巻は二年生。
個性しかないキャラたちがそれぞれの感性に沿ってゆるく展開していく恋愛。
性格的に引っかかるキャラはいないですし、欠点はありますがそれを補う周りの友人や補完するエピソードがあり、安心して読める日常系恋愛漫画の傑作だなと感じてます。おすすめです。